2018-01-01から1年間の記事一覧
戸建て住宅では、高層ビルでは使用しないような変わった技術があります。建物規模が小さく重量が軽いこと、特例により構造計算が必要ないこと等が影響していると考えられます。 特徴的なものとして、「制震テープ」や「エアー断震」が挙げられます。他に例を…
東洋ゴム工業の免震ゴム、KYBの免震ダンパー、免震構造に関する不祥事が社会問題となりました。連日テレビで取り上げられる大変な事態でした。しかし、その割に免震に関する理解が十分に広がっていないように感じられます。 東洋ゴム工業の免震ゴムデータ不…
コンクリートでできた建物には、コンクリートを補強するための「鉄筋」と呼ばれる細い鋼の棒が入っています。鉄筋には「異形鉄筋」と「丸鋼」の2種類があります。 昭和40年代頃までは丸鋼が主流だったようですが、今では完全に異形鉄筋に置き換わっています…
「構造デザイン」と聞いて、どういったイメージを思い浮かべるでしょうか。 繊細な柱に支持され浮いているかのような建物。厚みを感じさせない大屋根。奇抜な外観を支える複雑な骨組。大空間を覆う幾何学的なトラス。 どれも意匠設計者だけで簡単に実現でき…
「鉄筋コンクリート造(RC造)」は異種材料である鉄筋とコンクリートを組み合わせた複合構造であり、非常に複雑な特性を持っています。その複雑さゆえ、RC造の建物の各部に生じる力を正確に求めることは容易ではありません。 しかし、各部に生じる力の大きさ…
建物の最上部にあり、雨や日射から内部空間を守っているのが「屋根」です。 外壁と同様、屋外の過酷な環境に置かれているので、定期的なメンテナンスが必要になります。雨漏りが生じてしまえば、建物の耐久性にも悪影響を及ぼします。 昔は、屋根と言えば「…
建物の骨組の中で最も大切な部材は「柱」です。重力や地震の力に耐えるために不可欠な部材です。 では、その次に大切な部材はなんでしょうか。「鉛直(縦)」の部材である柱の次は、「水平(横)」の部材である、あれです、あれ。 そう、正解は「梁」です。…
以前に比べ、「制振」・「免震」という用語が一般化してきたように思います。 住宅展示場に行けば、いろいろなハウスメーカーが制振や免震を進めてきます。タワーマンションのパンフレットを見ても制振や免震の文字が躍っています。 この制振や免震に欠かせ…
針金をほんの少しだけ曲げてから手を離すと、針金は元に戻ります。しかし、グイっと曲げてしまうと、手を離しても元に戻らなくなります。 建物の場合も同様で、小さな地震の後では元に戻ったとしても、大きな地震の後では元に戻らないことがあります。変形し…
実験や計測によってたくさんのデータが得られます。得られたデータを適切に処理することで特性や傾向が理解できるようになります。 「このデータ、右肩上がりの傾向があるな」というような時に、それを近似できるような関数を求めたくなりますね。適当にエイ…
老朽化したビルや橋が崩れ落ちた、という海外のニュースを稀に目にします。いろいろと原因はあるのでしょうが、構造物が「重力」に耐えられなかったということです。 ミシミシと音がしただとか、外装材が落下しただとか、その前兆の様なものはありますが、基…
ゴムでできたブロックを上から押すと、グニッと縦方向に潰れます。そして、横方向にはグニッとはらみ出します。 逆にブロックをつまんで上に引っ張ると、グイっと縦方向に伸びます。そして、横方向にはグイっとお腹が引っ込んだようになります。 押すと膨ら…
家を建てる際、何を優先するかは人それぞれですが、予算に余裕がある人ほど「耐震性」を重視する傾向があるそうです。 地元の工務店ではなくハウスメーカーに依頼する人は予算が高い場合が多いので、結果として耐震性重視の人が多くなります。 当然ハウスメ…
建物を構成する骨組のうち、地面と垂直な部材が「柱」、水平な部材が「梁」です。そして、垂直でも水平でもなく、斜めになっているのが「ブレース(=筋違:すじかい)」です。 ブレースにより地震や風の力に抵抗する構造形式を「ブレース構造」と言います。…
どうせ家を買うなら地震に強い家がいい、そう考える人も多いです。 ただ、建物を外から眺めていても耐震性が高いかどうかはわかりません。営業担当者に聞いたところで物件のよい点しか言いませんし、本質を理解しているわけでもありません。 では、どうすれ…
建物の耐震性を表す指標として「耐震等級」があります。耐震等級は1から3まであり、3が最高評価です。 耐震等級1は現行の建築基準を満たす耐震性を有していることを示しており、耐震等級2ではその1.25倍、耐震等級3では1.5倍の強さを有していることになりま…
通常、ある物体に横から力を加えると横に変形し、縦から力を加えると縦に変形します。 なんだか当たり前のような気もしますが、そうとも限りません。ある条件の下では、縦に押したのに横に曲がってしまうということが起こります。 プラスチックの定規や細長…
日本には世界最大の「振動台」であるE-ディフェンスがあります。日々いろいろな試験体が運び込まれ、実験が繰り返されています。 E-ディフェンスでは過去に発生した地震動を再現することができます。兵庫県南部地震や熊本地震、東北地方太平洋沖地震であって…
建物の床板(スラブ)は、梁と呼ばれる水平な部材の上に乗っかっています。 梁が支えてくれるおかげで、床自身はあまり厚みがなくても床が抜けたり、たわみが大きくなったりすることはありません。しかし、梁と梁の間隔が広くなり過ぎると床板を厚くせざるを…
地震に強い建物を造るには、柱や壁をバランスよく配置することが重要です。ただ、いくら柱や壁だけを強くしてもうまくいかないことがあります。 建物の重量の大半は屋根や床に集中しています。そして、地震の力は各部の重量に比例します。 屋根や床に生じた…
建築の力学では、他の分野ではあまり積極的に取り扱わない「非弾性」の範囲についても考える必要があります。 非弾性とは、ある材料を引っ張った後、力を抜いても元の状態まで戻らなくなる状態を指します。材料の特性が変わるため、非弾性を取り扱うにはそれ…
結婚や子供の誕生、その他人生の節目を迎えると、自分の家を購入するかどうか検討する人が増えます。 昔から「賃貸が得か、購入が得か」の議論は尽きませんが、購入するとしたら「マンションか、一戸建てか」というのも大きなテーマです。 結局、どちらの問…
地震や強風による建物の揺れのエネルギーを吸収し、揺れ幅を低減する装置を制振ダンパー、あるいは制振装置と呼びます。 戸建て住宅用の小型のものから超高層ビルにも使用できる大型のものまで、いろいろなサイズがあります。最近の大手ハウスメーカーの注文…
鉄筋コンクリートとは「鉄筋」と「コンクリート」を組み合わせた複合材料です。木や鉄のような単一の材料ではないため、複雑な特性を示します。 RC造がよくわかる:構造設計一級建築士&コンクリート主任技士が解説 また、その組み合わせ方にはいろいろなル…
どんなに硬いものでも、力を加えれば変形します。建物も例外ではなく、物を置いたり風が吹いたりすれば、それに応じて揺れたり変形したりしています。 ただその程度が小さいため、普段生活している分にはあまり気づかないだけです。歩道橋の真ん中で立ち止ま…
2階建ての木造住宅のほとんどは「構造計算」をせずに建てられている、と言うと驚かれるでしょうか。建設業界ではよく知られていることですが、一般的にはあまり知られていないようです。 とはいえ最近は簡単になんでも検索できるので、住宅購入を検討された…
今ではめっきり聞かなくなくなりましたが、日本人の怖いものと言えば「地震、雷、火事、親父」でした。地震大国日本では、やはり地震が一番怖かったようです。 そのせいか、「地震に強い家に住みたい」、「絶対に壊れない家にしてください」という要望をよく…
1981年以前に建てられた建物は、現行の耐震基準に適合していない可能性があります。2016年の熊本地震では、建設年が1981年以前か以後かで建物の倒壊率に大きな差がありました。 建物の耐震性を向上させるには耐震改修を行うしかありません。しかし、実際に工…
一昔前の建設業を取り扱う小説では必ず題材にされる「談合」。建設業と言えば談合、というイメージすらありました。 現在は規制の強化により、その数は大幅に減りました。とはいえ、「どうせまだやってるんでしょ」という印象はぬぐい切れていません。 実際…
建築物の骨組となる部分は主として木、コンクリート、鉄で造られています。地震に対して安全な建物を造るには、これらの材料の特性をよく知っておく必要があります。 材料の最も一般的な特性として「剛性(硬さ)」と「強度(強さ)」があります。建物を変形…