バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

超高層

TMDがよくわかる:その原理と押さえておきたいポイント

世の中には揺れてしまうと困るものがたくさんあります。揺れによって不具合を起こす・壊れるといったモノへの影響から、居心地が悪くなる・ケガをするといった人への影響もあります。最悪の場合、人命に関わるということもあります。 そのため、揺れを小さく…

アクティブ制振装置の誤作動による安全性への影響

2022年9月18日、仙台市のホテルにて「建物が大きく揺れたため宿泊客が避難する」という事態が起こりました。制振装置の誤作動が原因ではないかとされています。 本来は建物の揺れを小さくするための装置がなぜ逆に建物を揺らしてしまったのでしょうか。装置…

構造から見る低層・中層・高層・超高層の区分け

「駅前に高層ビルができたね」だとか「停電時は低層のほうが安心だ」というような会話を交わしたことがあるかと思います。 建物の高さを表す際に、いちいち「○階建て」「○○mくらい」とは言わず、低層・中層・高層と表現したほうが便利な場面も多いです。また…

スカイツリーの構造を解説:重さから心柱制振まで

言わずと知れた日本一高い建造物、スカイツリー。建造物としてもブルジュハリファ(828m)に次ぐ世界第二位の高さを誇ります。 通常の超高層ビルではデザインを担当する意匠設計者が主役ですが、高くすること自体が主たる目的の電波塔では構造設計者が主役と…

木造超高層ビルの可能性:その意義・耐震性・コストを考える

超高層ビルの建設が行われ始めたころ、超高層ビルと言えば鉄骨造でした。近年はコンクリートの高強度化が進み、鉄筋コンクリート造のものもかなり建てられるようになりました。 そして、昨今では超高層ビルを木造で建てようという計画・構想がいくつも発表さ…

タワーマンションは地震に強いのか:耐震性とその検証方法

タワーマンションの耐震性について、疑問を持たれている方が多くいます。 首都圏や関西圏の超高層ビルに大きな揺れをもたらした東日本大震災の影響が大きいのだと思います。 すでにタワーマンションの「地震時の揺れ方」、「制振と免震の優劣」については記…

超高層ビルの解体工事:建て方から壊し方を考える時代へ

2014年にあべのハルカスが竣工し、日本の超高層ビルも300mに到達しました。これから先もいくつか300mを超えるようなビルの建設が計画されています。 日本で最初にビルの高さが100mを超えたのは1968年の霞が関ビルディング(高さ147m)です。その後、1970年代…

海外の超高層ビルの構造:日本の構造設計とはここが違う

日本一の高さを誇るビルは大阪のあべのハルカス(300m)ですが、世界にはそれを遥かに凌ぐ超高層ビルが乱立しています。 □■□疑問■□■ 世界と比べると、日本の超高層ビルは高さがかなり低いです。地震国であることが関係しているのでしょうか。 □■□回答■□■ 日…

タワーマンションに住むなら制振か免震か?専門家でも決めかねる難問

近年建設されるタワーマンションの大半が制振構造または免震構造となっています。 □■□疑問■□■ スーパーゼネコン各社がタワーマンション用の高性能な制振システムを開発しています。それでも免震構造が耐震性に最も優れた構造なのでしょうか。 □■□回答■□■ 基…

超高層ビルの耐震補強:2000年以前の建物は要注意

よく建設時期が1981年以前か以後かで耐震性が大きく違うと言われますが、超高層ビルでは2000年が重要な年となります。 □■□疑問■□■ 超高層ビルでも古いものは築数十年以上です。耐震性に問題はないのでしょうか。また、耐震補強の方法はあるのでしょうか。 □■…

CFT構造がよくわかる:超高層ビルにはコンクリート充填鋼管構造

鋼製の柱の中にコンクリートを詰め込んだ構造をコンクリート充填鋼管構造(CFT構造:Concrete Filled steel Tube)と言います。鉄筋コンクリート造では「外側にコンクリート、内側に鉄筋」でしたが、CFT造では「外側に鋼材、内側にコンクリート」という逆の…

超高強度材料は建築を変えるか:超高張力鋼と超高強度コンクリート

建物が巨大化、高層化するにつれ、材料の高強度化も進んでいます。 □■□疑問■□■ 昔に比べてとても強いコンクリートや鋼材が開発されています。もっと細い材料だけでできた軽快な建築物が今後増えていくのでしょうか。 □■□回答■□■ 従来の製品に比べコンクリー…

竹中工務店の超高層制振マンション:THE制振ダブル心柱システムの考察

スーパーゼネコン各社のタワーマンション用の制振、免震システムの考察もとりあえず最終回となる5回目です。 □■□疑問■□■ 竹中工務店の独自技術、THE制振ダブル心柱を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム) …

大成建設の超高層制振マンション:TASS Flex-FRAMEの考察

スーパーゼネコン各社のタワーマンション用の制振、免震システムの考察も4回目となりました。 □■□疑問■□■ 大成建設の独自技術、TASS Flex-FRAME(タス・フレックス・フレーム)を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム…

清水建設の超高層免震マンション:スイングセーバーの考察

スーパーゼネコン各社がタワーマンション用の制振、免震システムの開発を競っています。 □■□疑問■□■ 清水建設の独自技術、スイングセーバーを採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム) 鹿島:スーパーRCフレー…

鹿島建設の超高層制振マンション:スーパーRCフレーム構法の考察

東日本大震災以前から耐震性能の高いタワーマンションを建設するべく技術開発を進めていた会社があります。 □■□疑問■□■ 鹿島建設の独自技術、スーパーRCフレーム構法を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム…

大林組の超高層マンション:制振システムDFSの考察

タワーマンションが乱立し、タワーマンションであるというだけでは市場で埋没してしまいます。新たな付加価値を持ったタワーマンションが求められています。 □■□疑問■□■ 大林組の独自技術、DFS(Dual Frame System:デュアル・フレーム・システム)を採用し…

超高層ビルの高さの限界:ブルジュハリファを超えて

今も昔も、人は高いものに憧れ、心奪われる生き物のようです。高さの追及は、いつの時代であっても魅力的に映るのでしょう。 □■□疑問■□■ 現在世界一高いビルはドバイのブルジュハリファですが、お金に糸目をつけない場合、一体どれくらいの高さのビルが建て…

タワーマンションの何階が安全?超高層ビルの地震時の揺れを徹底解説

タワーマンションが増え、サラリーマン家庭でも手が届く値段の物件も出てきました。供用設備が充実しているものが多く、高層階では素晴らしい眺望が期待できます。 ただ、いくら魅力的な物件でも「絶対に購入しない」と決めている人たちもいます。 それは、…