バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

ミサワホームの木質パネル接着工法の耐震性について構造設計者が考察

大手ハウスメーカーであれば耐震性が高いことは最早あたりまえとなっています。実大建物を用いた振動実験により、震度7の揺れに複数回耐えられることが確認されています。 一般的な建売住宅の性能をはるかに超える耐震性を有しており、どこのメーカーで建て…

すべり支承とは?種類・使い方・摩擦係数を解説

地震対策技術として「耐震・制振・免震」の3つがありますが、この中でもっとも性能が高いのが「免震」です。建物の下に「免震層」と呼ばれる柔らかい層を設置し、地震の揺れを伝わりにくくしています。 免震構造がわかる 免震層をどのように構成するかで性能…

地震の速度を表すカイン(kine)とは?建物の被害状況を表す大事な指標

地震が発生すると、日本各地で観測された地震のデータはすぐに解析されます。震央やマグニチュード、震度の分布状況が速報で流れることで、地震の概要がわかります。 地震の大きさ・強さを表す指標として「震度」や「マグニチュード」は広く認知されており、…

トグル制震:飛島建設の特許工法を解説

制振構造とは、地震や強風による揺れを小さくするために「エネルギーを吸収する装置」を備えた建物のことです。 制振・制震構造とは エネルギーとは「力×変位」です。たくさんのエネルギーを吸収するには、できるだけ大きな力で、できるだけ大きく動く必要が…

スカイツリーの構造を解説:重さから心柱制振まで

言わずと知れた日本一高い建造物、スカイツリー。建造物としてもブルジュハリファ(828m)に次ぐ世界第二位の高さを誇ります。 通常の超高層ビルではデザインを担当する意匠設計者が主役ですが、高くすること自体が主たる目的の電波塔では構造設計者が主役と…

石場建ての耐震性能:免震効果は期待できるのか

建築基準法には「土台は基礎に緊結すること」と書かれています。 土台とは柱の下に水平に敷いた木の材、基礎とは建物を支える鉄筋コンクリートの部材です。通常は基礎にアンカーボルトという鋼製の部材を埋め込んでおき、これに土台を通してから締め付けます…

耐震基準の変遷:建築基準法の改正と建築年代による耐震性の違い

古い建物ほど地震時に大きな被害を受けます。古くても地震に強い建物はありますが例外的で、基本的には新しいものほど強い傾向にあります。 建物を新築する際は現行の耐震基準を満足する必要がありますが、建築基準法が改正されるたびに要求性能は高くなって…

液状化現象の被害とその対策:命と資産を守るために必要なこと

土地を購入する際、地盤がよいかどうかを気にする方は多いです。地盤の良し悪しが地震時の建物被害に影響を与えることを考えれば自然なことです。 地盤の被害でもっとも広範囲に影響を及ぼすのが「液状化」です。日本国内のみならず、世界の地震国では液状化…

繊維補強コンクリートとは:コスト・特徴・役割・配合について

コンクリートは基本的にひび割れるものです。なので、頑張ってひび割れが入らないようにするのではなく、ひび割れが入ってもいいような設計を行うのが重要です。 コンクリートのひび割れは当たり前? しかし、近年は建物に対する要求水準が上がり、ひび割れ…

ソフトストーリー制振とは:国立競技場にも採用された振動制御技術

建物を地震に強くするためのアプローチには「耐震・制振・免震」の3つがあります。どんなに新しく見える技術であっても、このうちのどれかに該当します。 耐震・制振・免震 この中で最も効果が高いのは「免震」です。揺れてから対処する「耐震」や「制振」と…

貫とは:柔らかい構造は現代建築にマッチするか

現在、木造住宅の耐震性能は壁の量が足りるかどうか(壁量計算)により確認されることがほとんどです。基本的に「壁の量さえあれば大丈夫」という考え方です。 壁量計算がわかる しかし、寺や神社、古民家など古くからある建物の中には壁のないものも存在し…

特定天井の耐震化:天井落下による被害とその対策

地震による死亡の原因の多くは家屋の倒壊や家具の転倒による圧死です。そのため建物の耐震化や家具の転倒防止措置が推奨されています。 住宅とマンションとで違う家具の転倒防止 しかし、その二つだけを防げればいいというわけではありません。たとえば天井…

許容応力度計算がわかる:全ての構造計算の基本

「構造計算」という言葉をご存知でしょうか。ご自宅を建てたことがある人なら一度は聞いたことがあるかもしれません。 構造計算とは「建物の安全性を確認するための計算」のことです。この計算のおかげで地震や台風などに対しても被害が大幅に抑えられていま…

UFO-Eの解析結果:地震力半減の効果はあったのか

基礎と建物との間に挟み込むだけで地震の力を半減できるという触れ込みの「UFO-E」という金物があります。 本当に効果があるのか、2記事を使って検討してみました。そして結論は「効果はあるが、限定的」というものでした。 構造設計のプロがUFO-Eの摩擦減震…

CLT住宅の耐震性:高性能木材による家づくりの是非

基本的に高層ビルの骨組はコンクリートや鉄で造られていますが、近年は環境負荷の低減のため「木材」を活用しようという機運が高まっています。 高層ビルの骨組には住宅などの低層の建物に比べて大きな力がかかります。そのため山から切り出してきた木そのま…

解析モデルの特徴と違い:質点系モデル・魚骨モデル・フレームモデル

重力や地震に対して安全な建物をつくるには「構造計算」により建物の各部に生じる力の大きさを求める必要があります。力の大きさがわかればこそ、柱の太さや鉄筋の量が決められるのです。 構造計算を行うには、建物という複雑な構造物をシンプルな形状に置き…

球面すべり支承とは:金属を用いた合理的な免震システム

1995年の阪神淡路大震災以降、数多くの免震建物が建てられてきました。近年では高層マンションや一定規模以上の病院ではかなりの確率で免震構造が採用されています。 免震構造がよくわかる 免震構造を「ゴムの上に載っていて地震の揺れが伝わらない建物」と…

熊本地震の被害状況から考える木造住宅の耐震性

2016年の熊本地震では二度の大きな揺れに見舞われました。特に益城町では震度7を二回記録するという、過去に例のないものでした。 建築基準法では二度の大きな揺れは想定していません。そのため一度目の地震には耐えられても、二度目の地震には耐えられなか…

基礎パッキンの耐震性は?基礎上に敷くだけで地震に効果があるのか

自然材料である木にとって湿気は天敵です。高温多湿の日本では換気が非常に重要になります。 特に、地面に近い1階の床下は湿度が高いので換気が欠かせません。 そのため、近年では床下の換気をスムーズに行えるよう「基礎パッキン」と呼ばれる材を住宅の基礎…

傾斜マンションの安全性を考える:杭と傾斜と耐震性の関係

2015年10月に横浜市、2020年5月に福岡市のマンションの傾斜問題が報じられました。 人生で一番大きな買い物がマンションだという人も多いことでしょう。それだけに問題が発生したときの影響は深刻です。 また、自分一人の所有物ではありませんので、意思の統…

家具の転倒防止:必要な対策は戸建てかマンションかで変わる

耐震工学の進んだ日本であっても、大きな地震が起きるたびに人的被害が発生します。死亡者数に目が行きがちですが、負傷者数はその数倍から数百倍とケタ違いに多くなります。 死亡の原因の大半は家屋の倒壊および家具の転倒による圧死です。また、負傷の原因…

転倒モーメントがわかる:重心位置との関係と計算方法について

建物が地震で倒れるのは、柱や梁が損傷して重さを支えられなくなるからです。ですので、柱や梁を地震に耐えられるよう頑丈にすれば問題は解決します。 しかし、どれだけ柱や梁を補強しても倒れてしまう場合があります。 例えば、本棚や食器棚のような背の高…

誰でもできる基礎の配筋検査:施主の立会いはとても効果的

家を建てるなら木造でしょうか、鉄骨造でしょうか、あるいは鉄筋コンクリート造でしょうか。どの材を選ぶかで家づくりは大きく変わってきます。 ただ、どの材を選んでも絶対に基礎は鉄筋コンクリート造になります。建築基準法に定められているからです。 基…

地震地域係数とは:過去の地震との対応とその意義

日本が地震大国であることは周知の事実です。人的被害を伴うような大きな地震が少なくとも数年に一度は起こっています。 そのため、日本のビルと地震のほとんどない国のビルとを比べると、明らかに日本のビルの方が骨太な感じがします。日本では重力だけでな…

耐震等級の最もわかりやすい説明:これを知らずに家を建てるなかれ

家を建てる際、耐震性が気になるという方はたくさんいます。地震に強い家を建てるための情報を求めて、いろいろなワードで検索します。 そのとき必ず出会うのが「耐震等級」という言葉です。いろいろなサイトで耐震等級の説明がなされており、建物の耐震性を…

木造超高層ビルの可能性:その意義・耐震性・コストを考える

超高層ビルの建設が行われ始めたころ、超高層ビルと言えば鉄骨造でした。近年はコンクリートの高強度化が進み、鉄筋コンクリート造のものもかなり建てられるようになりました。 そして、昨今では超高層ビルを木造で建てようという計画・構想がいくつも発表さ…

耐風梁がよくわかる:吹き抜けからALC受けまで

建物を構成する骨組のうち、水平な部材一般を「梁(はり)」と言います。 梁の主たる役割は、床などの重量を柱まで伝達することです。支える床の面積や柱間の距離に応じて梁の大きさを決定します。 梁がよくわかる しかし、建物に作用する力は重力だけではあ…

地震に強い家に住みたいと思ったら読む本:構造設計一級建築士がお薦めします

検索をかければ大抵のことが簡単に、無料で、しかも詳しく調べられる世の中になりました。当ブログを含め、耐震安全性に関する情報も大量にあります。 しかし、信頼性の高い情報が欲しい、より詳細な情報が欲しいとなった場合はまだまだ書籍に優位性があるよ…

地震で倒れない家とはどんな家:建物の強さと耐震性の話

2016年の熊本地震では震度7の強烈な揺れが二度も発生しました。 建築基準法では一度の揺れに耐えられるよう設計することとなっており、二度目の揺れは想定されていません。一度目の揺れには耐えられた建物も、二度目の揺れによって倒れたとの報告がなされて…

住友林業のビッグフレーム構法の耐震性について構造設計者が考察

「家を建てるなら木造がいい」と考えている人も多いかと思います。では、さらに一歩踏み込んで「木造にするなら○○工法(構法)がいい」とまで考えている人はどれくらいいるでしょうか。 日本で最も一般的な木造の工法は「木造軸組工法(在来工法)」、ついで…