バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

慣性質量ダンパーができること:モード制御と変位増幅

建物の硬さをコントロールすることはできましたが、建物の重さをコントロールすることはできませんでした。 □■□疑問■□■ 慣性質量ダンパーとはなんでしょうか。通常の制振ダンパーとは何が違うのでしょうか。 □■□回答■□■ 慣性質量ダンパーは今までにない、ま…

柱・梁に生じる力と変形を理解する:曲げモーメント・せん断応力・軸応力

柱や梁などの構造部材は、重力や地震により作用する力に耐えなくてはなりません。 □■□疑問■□■ 構造力学の講義では「モーメント」、「せん断力」、「軸力」といった言葉がよく出てきますが、それぞれにいろいろな式があってよくわかりません。 □■□回答■□■ 構…

建物の力の流れを把握する:せん断・軸・曲げによる応力の伝達

建物に生じる重力や地震の力を地盤まで伝えるのが柱や梁などの構造部材の役割です。 □■□疑問■□■ 構造設計では「力の流れをイメージしろ」とよく言われます。具体的にどういったことを指すのでしょうか。 □■□回答■□■ 建物は地盤に支えられています。そのため…

超高層ビルの耐震補強:2000年以前の建物は要注意

よく建設時期が1981年以前か以後かで耐震性が大きく違うと言われますが、超高層ビルでは2000年が重要な年となります。 □■□疑問■□■ 超高層ビルでも古いものは築数十年以上です。耐震性に問題はないのでしょうか。また、耐震補強の方法はあるのでしょうか。 □■…

CFT構造がよくわかる:超高層ビルにはコンクリート充填鋼管構造

鋼製の柱の中にコンクリートを詰め込んだ構造をコンクリート充填鋼管構造(CFT構造:Concrete Filled steel Tube)と言います。鉄筋コンクリート造では「外側にコンクリート、内側に鉄筋」でしたが、CFT造では「外側に鋼材、内側にコンクリート」という逆の…

人工知能は構造設計者になれるか?AIができること・できないこと

スーパーゼネコンの一角である竹中工務店が人工知能を活用し、「構造設計の中のルーチン的な作業の70%の削減」を目標に掲げました。 □■□疑問■□■ 近い将来、世の中のいろいろな職業が人工知能に取って代わられると予想されています。構造設計の仕事もなくなっ…

超長周期化した免震構造はどうなる?固有周期8秒の免震の是非

免震構造では「免震層」と呼ばれる柔らかい層の効果により地震の力を大幅に低減することができます。 □■□疑問■□■ 「免震層」をもっと柔らかくしていくとどうなるのでしょうか。柔らかいほど地震の力を小さくできる気がします。 □■□回答■□■ 免震層を柔らかく…

許容応力度がよくわかる:これだけは知っておきたい設計の基本

建物の耐震安全性を検証する方法はいくつかありますが、損傷するかどうかを検証するには「許容応力度」計算を行う必要があります。各部材に生じる応力度が許容応力度以下となっていることを確認する計算です。 □■□疑問■□■「許容応力度」がよくわかりません。…

時刻歴応答解析がよくわかる:免震建物・超高層ビル検証の必須技術

免震建物や超高層ビルは通常の建物に比べてゆっくり揺れます。揺れ方が違うということは地震の時に生じる力が違うということです。地震の力を算定するには「時刻歴応答解析」を行います。 □■□疑問■□■ 「時刻歴応答解析」がよくわかりません。通常の構造計算…

軟弱地盤だと地盤改良工事が必要?切っても切れない地盤と地震の関係

世界中どこを見渡しても同じ条件の建物はありません。仮に姿かたちが同じでも、建物が建つ地盤が違います。 □■□疑問■□■ 軟弱地盤に家を建てるので不安です。建物を設計する際、地盤の影響はどのくらいあるのでしょうか。 □■□回答■□■ 建物に作用する地震の力…

実大の建物を揺らす疑似動的実験:ハイブリッドシミュレーションとは

解析技術がいかに進もうと、実験無くしては本当の特性は知り得ません。 □■□疑問■□■ 自動車は販売前に衝突試験を繰り返し、安全性の確認を行っています。建物ではどのように安全性の確認を行っているのでしょうか。 □■□回答■□■ 構造計算により安全性を確認し…

新国立競技場の次の目玉建築は清水が受注?スーパーゼネコンの施工歴

今、日本でももっとも注目されている建設現場と言えば新国立競技場でしょう。 □■□疑問■□■ 東京オリンピックのメーン会場となる新国立競技場は大成建設が受注しました。次の目玉建築はどこが手掛けることになるでしょうか。 □■□回答■□■ 清水建設が最有力候補…

耐震スリット・構造スリットとは何か?スリットを入れてはいけない建物に注意

柱と壁の間、あるいは梁と壁の間にスリット(隙間)を設けることで建物の耐震性が向上する場合があります。 □■□疑問■□■ わざわざ建物にスリットを設けることで、どうして建物が地震に強くなるのでしょうか。隙間を埋めた方が強いように感じられます。 □■□回…

構造設計者になるなら知っておきたい建物の力のオーダー

解析ソフトを使えば誰でも構造計算が出来てしまう時代です。だからこそ、実際の建物の寸法、重さ、硬さ、空間、そういったものを感覚的に身に付けておきたいものです。 □■□疑問■□■ 建物のような大きな構造物が地震時に変形すると言われてもピンときません。…

南海トラフ地震で大都市圏が揺れる:長周期地震動の恐怖

東海地震から東海・東南海地震、東海・東南海・南海地震ときて、今では南海トラフ地震という巨大な規模の地震を想定するようになりました。 □■□疑問■□■ 東北地方太平洋沖地震のように、南海トラフでもマグニチュード9クラスの地震が起こるのでしょうか。 □■□…

建物の減衰とは何か:減衰係数と減衰定数の違いと各種減衰の紹介

地震が起こって建物が揺れても、台風が来て建物が揺れても、いつかは揺れが収まります。揺れが収まるのは「減衰」があるからです。 □■□疑問■□■ 減衰がよくわかりません。いろいろな用語があって、混乱します。「減衰とはこういうもの」というのがあれば教え…

中低層マンションに住むなら免震:コスト増でもそれだけの価値がある

耐震・制振・免震の違いを知ることも大切ですが、戸建住宅かマンションか、中低層か高層かで適した構造は違ってきます。 □■□疑問■□■ 耐震・制振・免震のメリット、デメリットを考慮したうえで、中低層のRC造マンションにはどの構造が最適でしょうか。 □■□回…

免震構造の設計:押さえておきたい基本の数値と装置の特徴

免震構造の普及に伴い、大手設計事務所、大手ゼネコン以外も免震構造の設計を行うようになっています。 □■□疑問■□■ 免震構造はゴムや鋼製のレール、いろいろなダンパーが使われているようですが、使用する装置で何か変わるのでしょうか。 □■□回答■□■ 免震構…

現代の心柱:鉄筋コンクリート建物における連層耐震壁の働き

いくつもの層に連なって配置されている耐震壁を「連層耐震壁」と言います。この連層耐震壁を現代の「心柱」として利用しようという設計思想があります。 □■□疑問■□■ 建物の上から下まで連続して壁を配置すると強いということを聞いたことがあります。感覚と…

優秀な社員の共通点:構造設計者として評価されるということ

ゼネコンにおける設計部、特に構造設計は高学歴の人間が集まってきます。有名な大学の院まで出ているのが大半で、勉強ができることは前提条件です。 □■□疑問■□■ 構造設計では、どういう人が評価され、出世していくのでしょうか。学歴は関係がありますか。 □■…

建築における構造最適化の功罪:アナログ構造設計者のぼやき

世の中、何でもかんでも合理化、最適化がなされ、無駄がそぎ落とされています。建築の世界も遅れてはいますが例外ではありません。 □■□疑問■□■ 建物をもっと合理的に造ることは可能でしょうか。コンピュータの処理能力が向上している昨今、建築物のような巨…

博士になって変わること、変わらないこと:ゼネコン博士の現状

ブログタイトルにあるように、著者のバッコは博士(工学)です。 □■□疑問■□■ 民間企業に勤める博士の数はまだまだ少ないようですが、何か特典やインセンティブのようなものはあるのでしょうか。 □■□回答■□■ 企業ごとに様々だと思いますので、ある大手ゼネコ…

トラス構造とラーメン構造:軸力による伝達と曲げによる伝達の違い

三角(△)の組み合わせでできているのがトラス構造、四角(□)の組み合わせでできているのがラーメン構造です。 □■□疑問■□■ トラス構造とラーメン構造の違いは何でしょうか。実際の設計において、どのように使い分けているのでしょうか。 □■□回答■□■ トラス…

有限要素法(FEM)と建築の親和性:安易な適用にはご用心

建物の構造解析モデルは線材要素(太さを考慮しない要素)とばねの組み合わせでできています。 □■□疑問■□■ 有限要素法を用いれば各部材の厚さ、太さを考慮した高精度な解析が可能です。解析の制度が向上することで新しい建物の設計が可能になることはあるで…

あえて壊すという設計はありか?マンションの雑壁に見る余剰耐力

大地震後、建物が倒壊に至らなくても補修が困難な場合は建て替えが行われます。 □■□疑問■□■ 地震後に壁という壁が全てビリビリにひび割れたマンションの映像を見ることがあります。しっかりと設計されていてもあれだけの被害が生じるのでしょうか。 □■□回答■…

超高強度材料は建築を変えるか:超高張力鋼と超高強度コンクリート

建物が巨大化、高層化するにつれ、材料の高強度化も進んでいます。 □■□疑問■□■ 昔に比べてとても強いコンクリートや鋼材が開発されています。もっと細い材料だけでできた軽快な建築物が今後増えていくのでしょうか。 □■□回答■□■ 従来の製品に比べコンクリー…

免震構造がよくわかる:固有周期・振動モード・エネルギー吸収

1995年の兵庫県南部地震以降、免震建物の着工数は大幅に上昇しました。今ではかなりの数の免震建物が日本中にあります。 □■□疑問■□■ 免震構造とは結局のところどういう建物を指すのでしょうか。「地震を免れる」と言われてもよくわかりません。 耐震・制振・…

静定構造と不静定構造の実建物における違い:力学と実現象の架け橋

構造力学の授業でまず習うのが「静定構造」、その次に習うのが「不静定構造」です。 □■□疑問■□■ 「静定構造」と「不静定構造」が具体的にどういうものなのかわかりません。また、構造設計の際にどのように使い分けするのでしょうか。 □■□回答■□■ 「静定構造…

竹中工務店の超高層制振マンション:THE制振ダブル心柱システムの考察

スーパーゼネコン各社のタワーマンション用の制振、免震システムの考察もとりあえず最終回となる5回目です。 □■□疑問■□■ 竹中工務店の独自技術、THE制振ダブル心柱を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム) …

エアー断震は免震よりも優れているのか?法律は置いておくとして

空を飛んでいれば地震も怖くない、構造設計者なら誰しも一度は考えたことがあるアイディアです。 □■□疑問■□■ 宙に浮く建物「エアー断震」がテレビで取り上げられていました。耐震や制振はもとより、免震よりも優れた性能を発揮するのでしょうか。 □■□回答■□■…