バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

直下率は耐震性に関係しない!構造のプロが教える4つの理由

2016年の熊本地震では最新(2000年)の耐震基準で設計された住宅でも何棟か倒壊しています。また、建築基準法に規定されている耐震性能の1.25倍の強さがあるとされる「耐震等級2」の住宅も倒壊しています。その理由の1つとして「直下率」の低さが挙げられて…

スキップフロアは地震に弱い?素人建築士に任せると危険な4つの理由

床に段差をつけ、半階ずつずらして空間を構成した建物を「スキップフロア」と言います。敷地を有効に利用できるだけでなく、変化に富んだ空間を作ることができます。 □■□疑問■□■ スキップフロアで住宅を建てようと考えています。地震に強い家にするために注…

モールの定理による梁のたわみの計算例

梁のたわみを求める方法はいくつかあります。全て解析ソフトが計算してくれる時代ではありますが、電卓1つでできることもまだまだ多いです。 ここでは「モールの定理」を用いて、片持ち梁と単純梁に集中荷重と等分布荷重が作用したときの曲げによるたわみ量…

建物の基礎の種類と特徴:べた基礎が布基礎よりいいとは限らない

建物を支えるためには基礎をしっかりと造る必要があります。 □■□疑問■□■ 住宅の基礎をどうするか迷っています。基礎の違いによって建物の耐震性は大きく変わるのでしょうか。 □■□回答■□■ 基礎がしっかりしていないと、いくら上部の建物を強くしても意味があ…

木造住宅に最適な制振・制震ダンパーはどれ?価格・耐久性・耐震性を比較

木造をメインとする大手ハウスメーカーの大半が独自の制振ダンパー(制振装置)を開発しています。 □■□疑問■□■ 数ある制振ダンパーの中で、木造住宅に最も適しているのはどれでしょうか。 □■□回答■□■ 耐震構造でも十分安全な建物にすることは可能ですが、も…

断面二次モーメントと断面係数の計算:長方形・三角形・円形の公式を導出

建築の分野で使用する部材の断面は「長方形」か「H型」である場合が大半です。「H型」は「長方形」の集合であると考えることができるので、基本的には「長方形」に関する公式を暗記していれば問題ありません。 ただ、大学の講義やテストでは三角形や円形につ…

木造住宅の四隅に耐力壁は必須か?配置不要なことを力学的に検証

建物の耐震性を高めるには耐力壁をバランスよく配置しなくてはなりません。 □■□疑問■□■ 耐力壁を四隅に配置するのが耐震構造の基本と言われました。木造住宅ではコーナーサッシなどは諦めた方がいいのでしょうか。 □■□回答■□■ 建物の四隅に柱や耐力壁を必ず…

自分でできる木造住宅の耐震補強:DIYで命を守れるか

1981年以前の建物は、現行の耐震基準を満たしていない「既存不適格」の物件が多くあります。また、2016年の熊本地震では2000年以降の最新の基準を満たした建物でも倒壊した事例があります。 □■□疑問■□■ 自分で木造住宅の耐震補強をしたいと思っています。な…

ラーメン構造がよくわかる:基本概念から耐震性まで

戸建住宅以外で最も多く適用されている構造形式、それが「ラーメン構造」です。 □■□疑問■□■ ラーメン構造とはどういう構造形式なのでしょうか。メリットやデメリット、耐震性について教えてください。 □■□回答■□■ 鉄骨造のビルや、鉄筋コンクリート造の中層…

構造設計者の三種の神器:関数電卓・フリクションペン・方眼紙

コンピュータの計算能力が上がり、数万m2の巨大な施設や超超高層ビルでも構造計算が可能になりました。恐らく人間の手では一生かかっても正確な計算ができないでしょう。 □■□疑問■□■ 構造計算は全て構造計算ソフトがやってくれます。構造設計にはパソコン一…

設計経験のある教授は怖い:設計事務所・ゼネコン設計部出身の先生方

大学院修了後も大学に残り、研究一筋の先生も多いですが、一度企業に勤めてから大学に戻ってくる先生も一定数います。 □■□疑問■□■ 超高層ビルや免震建物のような難易度の高い建物については大学の先生が審査すると聞きました。どのような先生が担当するので…

一級建築士試験の難易度は?新旧試験の比較とゼネコンマンが思うこと

同じ建築士でも、一級建築士が取り扱える業務の範囲は二級建築士や木造建築士とは比べられないほど広くなります。 □■□疑問■□■ 一級建築士試験はどのくらい難易度が高いのでしょうか。一級建築士試験に受かった人は皆、優秀なのでしょうか。 □■□回答■□■ 一般…

海外の超高層ビルの構造:日本の構造設計とはここが違う

日本一の高さを誇るビルは大阪のあべのハルカス(300m)ですが、世界にはそれを遥かに凌ぐ超高層ビルが乱立しています。 □■□疑問■□■ 世界と比べると、日本の超高層ビルは高さがかなり低いです。地震国であることが関係しているのでしょうか。 □■□回答■□■ 日…

建物の靭性と脆性:構造設計者が靭性を重視する理由

材料の分野でよく「靭性(じんせい)」や「脆性(ぜいせい)」という言葉を使いますが、建物についても「靭性」、「脆性」という言葉を使います。 □■□疑問■□■ 「靭性」、「脆性」とはどういう意味でしょうか。「靭性」がある建物とはなんでしょうか。 □■□回…

軟弱地盤こそ免震構造にするべき:地盤と免震に関する勘違い

平成12年の建設省告示2009号の第6による方法では、第3種地盤と呼ばれる軟弱な地盤や液状化の恐れがある地盤では免震構造の設計を行うことができません。 □■□疑問■□■ 軟弱な地盤では免震の効果を発揮できないため、免震建物を建設することはできないと聞きま…

耐震等級3は取れるなら取ろう:建築士が優秀じゃないかもと思ったら

建物の耐震性の指標として、品確法の住宅性能表示制度による「耐震等級」があります。 □■□疑問■□■ 建築基準法による耐震性は人命を保護するための最低限の規定に過ぎないと聞きました。大地震にも壊れない安全な家にするにはどうしたらいいいでしょうか。 □■…

関東大震災を引き起こした相模トラフ:首都圏のビルをどう設計すべきか

日本に巨大な地震を引き起こすのは日本海溝や南海トラフだけではありません。 □■□疑問■□■ 首都圏に巨大地震が起きる可能性はあるのでしょうか。首都圏の機能がマヒすると日本中が大変なことになりそうです。 □■□回答■□■ 直下型の地震であれば日本中どこでも…

木造・二級・一級建築士の違い:業務範囲から資格試験までを徹底比較

一口に建築士と言っても、一級、二級、木造建築士がありますし、2008年からは一級建築士の上位資格である構造設計一級建築士、設備設計一級建築士も新設されています。 □■□疑問■□■ 木造建築士、二級建築士、一級建築士の違いは何でしょうか。建築士を目指す…

新入社員必見!構造設計者が最初の3年間でやっておくべき3つのこと

入社して3年もすれば、いろいろなことを任せてもらえるようになります。 □■□疑問■□■ 春から新社会人となり構造設計の仕事を始めます。どんなことを意識して仕事に取り組めばいいでしょうか。 □■□回答■□■ 今さらながら「あの時ああしておけばよかった」と思う…

共振現象の恐怖:建物と地盤の固有振動数・固有周期の関係

地震が起こったとき、大きく揺れる建物とあまり揺れない建物があります。建物が倒れるかどうかは、耐震性が高い、低いだけではありません。 □■□疑問■□■ 東北地方太平洋沖地震では、耐震性が高いと言われている超高層ビルがとても揺れたと聞きました。超高層…

耐震性・地震・構造に関する間違いや嘘 Part1:構造設計一級建築士が是正します

ご存知の通り、インターネット上には有益な情報もありますが、誤った情報も大量にあります。その他の分野はわかりませんが、建築のこと構造に関してはかなりひどい状況と言えます。 素人が思い込み・勘違いで書いても1記事、構造を専門としない建築士がよく…

塔状比の限界はいくらか?スレンダーなビルの設計は難しい

うまくデザインされた細い柱や薄い庇は軽やかで恰好いいです。建物も高層になってくると、シルエットが細い方が洗練されて見えます。 □■□疑問■□■ 間口が非常に狭く、それなりに高さがあるビルや、とても細い超高層ビルなどがあります。どのくらいまで細くで…

一級建築士の転職事情:設計業務に疲れたら

転職市場が開かれ、会社をやめることのハードルがどんどん下がってきています。 □■□疑問■□■ 建築の設計業務は激務と聞きます。体調を崩したり、仕事が合わなかったりしたらと考えると不安です。資格があれば転職も容易でしょうか。 □■□回答■□■ 近年は過重労…

断面係数と断面二次モーメント:梁せいの2乗・3乗に比例する理由

大学の講義でも建築士の試験でも、構造力学につまずいてしまう人が非常に多いです。難しい式を一生懸命考えるのもいいですが、実現象がどうなっているかを考えるのも大切です。 □■□疑問■□■ 「断面係数」と「断面二次モーメント」がよくわかりません。単位が…

建物観測は誰のためのもの?構造ヘルスモニタリングで被災度チェック

地震により建物のどこがどの程度損傷したのかがわかれば、その後の避難や補修計画に生かすことができます。 □■□疑問■□■ 地震の後、建物から避難したほうがいいのか、建物内に留まったほうがいいのか、どうやって判断したらいいでしょうか。 □■□回答■□■ 基本…

タワーマンションに住むなら制振か免震か?専門家でも決めかねる難問

近年建設されるタワーマンションの大半が制振構造または免震構造となっています。 □■□疑問■□■ スーパーゼネコン各社がタワーマンション用の高性能な制振システムを開発しています。それでも免震構造が耐震性に最も優れた構造なのでしょうか。 □■□回答■□■ 基…

切替え型ダンパーが免震構造を守る:巨大地震に備えた新たな制御技術

近い将来に発生が予測されている南海トラフ地震では、東北地方太平洋沖地震を上回る揺れが首都圏、関西圏に生じるでしょう。 □■□疑問■□■ 設計時に想定した地震よりも大きな地震が発生した場合、免震建物はどうなるのでしょうか。 □■□回答■□■ 免震建物の下部…

RC造がよくわかる:構造設計一級建築士&コンクリート主任技士が解説

分譲マンションではその大半が鉄筋コンクリート造(RC造)です。学校や病院も多くがRC造であり、コンクリートは非常に身近な建築材料と言えます。 □■□疑問■□■ RC造について、いろいろなサイトで説明がなされています。しかし、サイト間で矛盾があるなど何が…

地震予知・予測は構造設計を変えるか?オーダーメイドの設計用地震動

予め、いつ、どこで、どんな地震が起こるかわかる、防災の面でこれほど助かることはありません。 □■□疑問■□■ 地震の発生を予め知ることはできないのでしょうか。もしできるとすれば、建物の設計にはどんな影響があるでしょうか。 □■□回答■□■ いろいろな研究…

慣性質量ダンパーができること:モード制御と変位増幅

今まで構造設計者は、建物の硬さをコントロールすることはできましたが、建物の重さをコントロールすることはできませんでした。 □■□疑問■□■ 慣性質量ダンパーとはなんでしょうか。通常の制振ダンパーとは何が違うのでしょうか。 □■□回答■□■ 慣性質量ダンパ…