バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

体験記

『制振はサスペンションと同じ原理』というモヤモヤする例え

なにか難しいことを説明するとき、それに似たなにか別のものに例えるのはよくあることです。当ブログでもこれまでたくさんの例えをしてきました。 例え話には厳密さは必要ありません。そもそも厳密に同じものであれば例えになっていません。要は本質的な部分…

読者からの相談事例②:「この家どう思います?」

家の耐震性というのは通常、日常生活の中で感じることはできません。いざ地震や台風といった災害が起こったときに初めてわかるものです。 「どうせわからないのだから」と気にすることなく過ごせる方もいる一方、「本当のところはどうなのだろうか」と不安に…

読者からの相談事例①:基礎のやり直し

構造設計に関するブログを書いていると、家づくりの相談に乗ってほしいという問い合わせがきます。専門家からすると意外なところで悩んでいる方もおり、まだまだ情報発信をする価値はあるのかなと感じます。 ここでは比較的よくある相談内容である「基礎の配…

優れた構造デザインとは:目に見える構造・見えない構造

「構造デザイン」と聞いて、どういったイメージを思い浮かべるでしょうか。 繊細な柱に支持され浮いているかのような建物。厚みを感じさせない大屋根。奇抜な外観を支える複雑な骨組。大空間を覆う幾何学的なトラス。 どれも意匠設計者だけで簡単に実現でき…

建築学科に入ってよかったこと、建築士になってよかったこと

ゼネコンに技術系で入社する人の大半が建築系か土木系の学科を卒業しています。 両学科は工学部に属していますが、他の機械や電気、情報工学といった学科とは少し趣が違います。特に建築学科は工学部っぽくない要素が強いです。 建築学科を卒業し建設業に就…

博士になって変わること、変わらないこと:ゼネコン博士の現状

ブログタイトルにあるように、著者のバッコは博士(工学)です。 □■□疑問■□■ 民間企業に勤める博士の数はまだまだ少ないようですが、何か特典やインセンティブのようなものはあるのでしょうか。 □■□回答■□■ 企業ごとに様々だと思いますので、ある大手ゼネコ…

鉄筋コンクリートの家づくり:工事監理をしないと大変なことに

一級建築士をやっていると、個人的に「家を設計してくれ」と言われることがあります。構造が専門なので他を当たってもらうのが常なのですが、そのときは同僚の意匠設計者から「構造を見てくれ」と言われたので引き受けました。 RC造、壁式構造、スキップフロ…

構造設計一級建築士試験体験記:勉強法と有資格者の位置づけ

一級建築士合格後、5年以上の実務を積んで初めて受験資格が得られる構造設計一級建築士試験。ゼネコンの設計部員から見た試験について記したいと思います。 構造設計一級建築士とは 資格の位置づけ 受験者数から見る構造設計 講義 勉強方法 スタート地点 過…

兵庫県南部地震を経験して:構造設計者が振り返る阪神・淡路大震災

1995年1月17日午前5時46分、激しい揺れが神戸市周辺を襲いました。兵庫県南部地震です。 兵庫県南部地震の再体験 構造設計者が感じた兵庫県南部地震 巨大な実験施設 日本の構造デザイン 兵庫県南部地震の再体験 地震発生当時はまだ10代の前半で、ことの重大…

一級建築士試験体験記:学科と製図と勉強法と

建築の道を志して社会に出た若者の前に立ちはだかるのが一級建築士試験。少し前の話になってしまいますが、合格までの体験を記したいと思います。 旧試験と新試験の違い 受験資格 試験構成 難易度 学科試験 勉強方法:学生時代 勉強方法:社会人以降 試験当…

コンクリート主任技士試験の勉強法:小論文より4択重視で一発合格

コンクリート技士の上位資格であるコンクリート主任技士。少し前の話になってしまいますが、合格までの体験を記したいと思います。 ゼネコン設計部社員がコンクリート主任技士を受けるまで 試験構成と合格率 試験構成 合格率 勉強方法:過去問→テキスト→小論…

家づくり体験記:構造のプロが犯した2つの失敗

「紺屋の白袴」と言うが、「建築家の借家」も言えそうだ、と何かの記事で読んだことがあります。建築士も多忙なので、なかなか自分の家にまで手が回らないのでしょうか。意匠設計者が自宅の設計をしたという話はチラホラ聞きますが、構造設計者ではかなり少…

住宅展示場探訪:ハウスメーカーの営業に構造の説明をしてもらった

モデルハウス、モデルルームが好きです。 どちらかというとモデルルームの方が好きなのですが、一度にたくさんの建物を見ることができる住宅展示場は楽しいですね。ついつい営業の方にマニアックな質問をしてしまうこともあります。 思ったような答えが返っ…