バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

マンション

キラーパルスとは:木造住宅の被害とその対策

震度6強や震度7の大きな地震が過去に何度も発生しています。この規模の地震が起こると、ほとんどの場合人的被害が発生してしまいます。 しかし、同じ震度の地震であっても被害の程度が大きいものと、そうでもないものとがあります。この違いは一体何によるも…

液状化現象の被害とその対策:命と資産を守るために必要なこと

土地を購入する際、地盤がよいかどうかを気にする方は多いです。地盤の良し悪しが地震時の建物被害に影響を与えることを考えれば自然なことです。 地盤の被害でもっとも広範囲に影響を及ぼすのが「液状化」です。日本国内のみならず、世界の地震国では液状化…

傾斜マンションの安全性を考える:杭と傾斜と耐震性の関係

2015年10月に横浜市、2020年5月に福岡市のマンションの傾斜問題が報じられました。 人生で一番大きな買い物がマンションだという人も多いことでしょう。それだけに問題が発生したときの影響は深刻です。 また、自分一人の所有物ではありませんので、意思の統…

家具の転倒防止:必要な対策は戸建てかマンションかで変わる

耐震工学の進んだ日本であっても、大きな地震が起きるたびに人的被害が発生します。死亡者数に目が行きがちですが、負傷者数はその数倍から数百倍とケタ違いに多くなります。 死亡の原因の大半は家屋の倒壊および家具の転倒による圧死です。また、負傷の原因…

耐震等級の最もわかりやすい説明:これを知らずに家を建てるなかれ

家を建てる際、耐震性が気になるという方はたくさんいます。地震に強い家を建てるための情報を求めて、いろいろなワードで検索します。 そのとき必ず出会うのが「耐震等級」という言葉です。いろいろなサイトで耐震等級の説明がなされており、建物の耐震性を…

地震に強い家に住みたいと思ったら読む本:構造設計一級建築士がお薦めします

検索をかければ大抵のことが簡単に、無料で、しかも詳しく調べられる世の中になりました。当ブログを含め、耐震安全性に関する情報も大量にあります。 しかし、信頼性の高い情報が欲しい、より詳細な情報が欲しいとなった場合はまだまだ書籍に優位性があるよ…

タワーマンションは地震に強いのか:耐震性とその検証方法

タワーマンションの耐震性について、疑問を持たれている方が多くいます。 首都圏や関西圏の超高層ビルに大きな揺れをもたらした東日本大震災の影響が大きいのだと思います。 すでにタワーマンションの「地震時の揺れ方」、「制振と免震の優劣」については記…

剛性率を考える:高さ方向の構造バランスと力学の話

「地震に強い建物にするにはバランスのいい構造にするのが重要です」とはよく言われます。 なるほど、確かにバランスが悪いよりはいい方が強そうです。では、建物のバランスとは一体何を指しているのでしょうか。 そもそも、一口にバランスと言っても、色々…

マンションの耐震等級:なぜ耐震等級2・3が少ないのか

建物の耐震性を表す指標として「耐震等級」があります。耐震等級は1から3まであり、3が最高評価です。 耐震等級1は現行の建築基準を満たす耐震性を有していることを示しており、耐震等級2ではその1.25倍、耐震等級3では1.5倍の強さを有していることになりま…

マンションと一戸建ての耐震性能比較:本当に地震に強いのはどっち?

結婚や子供の誕生、その他人生の節目を迎えると、自分の家を購入するかどうか検討する人が増えます。 昔から「賃貸が得か、購入が得か」の議論は尽きませんが、購入するとしたら「マンションか、一戸建てか」というのも大きなテーマです。 結局、どちらの問…

地震後の通電火災はこれで防げる!スイッチ断ボールは信頼性抜群

今ではめっきり聞かなくなくなりましたが、日本人の怖いものと言えば「地震、雷、火事、親父」でした。地震大国日本では、やはり地震が一番怖かったようです。 そのせいか、「地震に強い家に住みたい」、「絶対に壊れない家にしてください」という要望をよく…

パンフレットを読み解く:マンション購入前に知っておきたいRC造の基本

多くの人にとって人生で最も高い買い物になるであろうマンションの購入ですが、新築マンションの場合には建物の完成前に契約する場合が大半です。 事前にいろいろと比較しようにも、1つとして同じマンションはありません。結局はデベロッパーの評判やパンフ…

主筋とせん断補強筋(帯筋・あばら筋):各鉄筋の役割と違い

「鉄筋コンクリート造(RC造)」は、マンションや病院、その他多くの建物に採用されています。 RC造とはその名の通り、コンクリート内に鉄筋を組み込んだコンクリートと鉄の複合構造です。コンクリートは「圧縮」には強いですが、「引張」には弱いため、それ…

タワーマンションに住むなら制振か免震か?専門家でも決めかねる難問

近年建設されるタワーマンションの大半が制振構造または免震構造となっています。 □■□疑問■□■ スーパーゼネコン各社がタワーマンション用の高性能な制振システムを開発しています。それでも免震構造が耐震性に最も優れた構造なのでしょうか。 □■□回答■□■ 基…

中低層マンションに住むなら免震:コスト増でもそれだけの価値がある

耐震・制振・免震の違いを知ることも大切ですが、戸建住宅かマンションか、中低層か高層かで適した構造は違ってきます。 □■□疑問■□■ 耐震・制振・免震のメリット、デメリットを考慮したうえで、中低層のRC造マンションにはどの構造が最適でしょうか。 □■□回…

あえて壊すという設計はありか?マンションの雑壁に見る余剰耐力

大地震後、建物が倒壊に至らなくても補修が困難な場合は建て替えが行われます。 □■□疑問■□■ 地震後に壁という壁が全てビリビリにひび割れたマンションの映像を見ることがあります。しっかりと設計されていてもあれだけの被害が生じるのでしょうか。 □■□回答■…

竹中工務店の超高層制振マンション:THE制振ダブル心柱システムの考察

スーパーゼネコン各社のタワーマンション用の制振、免震システムの考察もとりあえず最終回となる5回目です。 □■□疑問■□■ 竹中工務店の独自技術、THE制振ダブル心柱を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム) …

大成建設の超高層制振マンション:TASS Flex-FRAMEの考察

スーパーゼネコン各社のタワーマンション用の制振、免震システムの考察も4回目となりました。 □■□疑問■□■ 大成建設の独自技術、TASS Flex-FRAME(タス・フレックス・フレーム)を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム…

清水建設の超高層免震マンション:スイングセーバーの考察

スーパーゼネコン各社がタワーマンション用の制振、免震システムの開発を競っています。 □■□疑問■□■ 清水建設の独自技術、スイングセーバーを採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム) 鹿島:スーパーRCフレー…

コンクリートのひび割れは当たり前?マンションも戸建住宅も

念願の新居を購入し、ウキウキした気分の入居の日、建物にひび割れが入っているのを見つけたらどうしましょう。 □■□疑問■□■ コンクリートの壁や基礎をよく見てみると、そこかしこにひび割れが入っています。強度や耐久性に悪影響はないのでしょうか。 □■□回…

鹿島建設の超高層制振マンション:スーパーRCフレーム構法の考察

東日本大震災以前から耐震性能の高いタワーマンションを建設するべく技術開発を進めていた会社があります。 □■□疑問■□■ 鹿島建設の独自技術、スーパーRCフレーム構法を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム…

大林組の超高層マンション:制振システムDFSの考察

タワーマンションが乱立し、タワーマンションであるというだけでは市場で埋没してしまいます。新たな付加価値を持ったタワーマンションが求められています。 □■□疑問■□■ 大林組の独自技術、DFS(Dual Frame System:デュアル・フレーム・システム)を採用し…

こんな家住みたくない:構造設計一級建築士が避ける建物

構造設計者だからと言って、強い家に住んでいるとは限りません。でも、わざわざ弱い家に住もうとは思いません。 □■□疑問■□■ 構造設計者が「こんな家にだけは住みたくない」と感じる住宅・マンションがあれば教えてください。 □■□回答■□■ 1981年の耐震基準改…

RC造マンションの耐震補強:強くするだけが能じゃない

1981年以前の建物は、現行の耐震基準を満たしていない「既存不適格」の物件が多くなっています。 □■□疑問■□■ RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションの耐震補強を検討していますが、どのような補強方法があるのでしょうか。古い建物でも十分な安全性を確保…

コンクリート強度:マンション購入前に知っておきたいRC造の基本

多くの分譲マンションは鉄筋コンクリート構造を採用しています。コンクリートはその見た目が同じでも、強さには非常に大きな開きがあります。 □■□疑問■□■マンションの広告等で「コンクリート強度が○○MPa(または○○N/mm2)」と書かれていますが、どの程度の値…

構造設計者の住まい:専門家がどんな家に住んでいるか聞いてみた

建物の強さの現状をよく知っている構造設計者ですが、自宅を設計することは稀です。 □■□疑問■□■ 構造設計者はどういった基準で住まいを選ぶのでしょうか。 □■□回答■□■ 値段、間取り、立地、その他みなさんが重視することと基本的には同じです。もちろん構造…

タワーマンションの何階が安全?超高層ビルの地震時の揺れを徹底解説

タワーマンションが増え、サラリーマン家庭でも手が届く値段の物件も出てきました。供用設備が充実しているものが多く、高層階では素晴らしい眺望が期待できます。 ただ、いくら魅力的な物件でも「絶対に購入しない」と決めている人たちもいます。 それは、…

溶接閉鎖鉄筋:マンション購入前に知っておきたいRC造の基本

コンクリートの柱には主筋と帯筋という2種類の鉄筋が配置されています。柱と平行の太い鉄筋が「主筋」で、この主筋を取り囲んでいる細い鉄筋が「帯筋」です。 主筋とせん断補強筋(帯筋・あばら筋):各鉄筋の役割と違い マンションの広告、パンフレット等…

壁のダブル配筋とは:マンション購入前に知っておきたいRC造の基本

コンクリートの壁には縦と横にそれぞれ鉄筋が配置されています。この縦と横の鉄筋の組が壁の中に1組配置されていることを「シングル配筋」、2組配置されていることを「ダブル配筋」といいます。 マンションの広告やパンフレットの中には、「このマンションで…