バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

KYBの免震・制振装置のデータ改竄:構造設計者が思うこと

2018年10月、KYBとその子会社のカヤバマシナリーが「免震用オイルダンパー」および「制振用オイルダンパー」の検査データを改竄していることが明らかになりました。 横浜での杭打ちデータ不正、東洋ゴム工業の免震装置データ不正と建築業界で不祥事が続いて…

構造計算とは?真面目に計算した建物ほど弱くなる不思議

世界各地で地震が起きると、その規模に比べて被害が大きいことに驚きます。 地方では技術者が関与していない建物がたくさんありますが、その大半が瓦礫の山に変わります。しっかりと建物を造っていれば助かった命がたくさんあったでしょう。 その点、日本で…

建築学科に入ってよかったこと、建築士になってよかったこと

ゼネコンに技術系で入社する人の大半が建築系か土木系の学科を卒業しています。 両学科は工学部に属していますが、他の機械や電気、情報工学といった学科とは少し趣が違います。特に建築学科は工学部っぽくない要素が強いです。 建築学科を卒業し建設業に就…

SRC造がよくわかる:S造・RC造との違いと耐震性・耐久性

一昔前の高層マンションでは、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)を採用するケースが多く見られました。近年は新築ではあまり見なくなりましたが、中古マンション市場ではいくつも出回っています。 ただ、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)の建物に比べ…

二階リビングだけじゃない:耐震性の高い間取りとは

東北地方太平洋沖地震以降、日本各地で地震が頻発しています。住宅を建てる際に、耐震性を気にする方も増えているようです。 これから建てられる家は全て、現行の建築基準法の規定以上の耐震性を有することになります。近年の地震被害の状況から見て、人命保…

制震テープの効果は?構造設計のプロが本当の性能を徹底解説

世の中にはいろいろな種類の制振ダンパーが出回っていますが、その中でも異彩を放っているのが「制震テープ」です。 制震テープ単体では制振ダンパーとは呼べません。耐力壁にこのテープを貼り付けることで、ただの耐震の壁が制振の壁へと変化するのです。 …

小屋裏収納(ロフト)と中間階収納(蔵):耐震性が高いのはのどちら?

敷地ごとに建てられる建物の面積は決まっています。各部屋の面積は大きく取りたいけれど、収納もたくさんほしい、多くの人が悩むところです。 そんな悩みを解決してくれるのが「小屋裏収納」や「中間階収納」です。天井高1400mm以下の空間は床面積に算入され…

長周期地震動階級とは?超高層ビルへの影響を考慮した新しい指標

地震の大きさを測る指標はいろいろあります。地震の加速度や速度、マグニチュードなど、巨大地震発生後には多様な数値がメディアを賑わせることになります。 その中でも、「震度」が一番馴染みのある指標ではないでしょうか。他の指標と違い、物理的な意味よ…

「建築」と「土木」の違い:大学教育から業界の体質まで

「建築」という言葉、あるいは「土木」という言葉からどんな印象を受けるでしょうか。なんとなく「建築」の方がお洒落で、「土木」の方が野暮ったいイメージがある気がします。 しかし、どう違うのかと聞かれると答えに窮してしまう人もいるのではないでしょ…