バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

建築学科に入ってよかったこと、建築士になってよかったこと

ゼネコンに技術系で入社する人の大半が建築系か土木系の学科を卒業しています。

 

両学科は工学部に属していますが、他の機械や電気、情報工学といった学科とは少し趣が違います。特に建築学科は工学部っぽくない要素が強いです。

 

建築学科を卒業し建設業に就くなら、一級建築士はぜひ取っておきたい資格です。むしろ大手ゼネコン、特に設計部に所属していると、一級建築士は持っていて当たり前の資格です。

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「建築学科」を卒業すること、「建築士」になること、これは世の中にたくさんあるキャリアパスの一つでしかありません。もっと魅力的なものもたくさんあるでしょう。

 

ただ他のことは知らないので、ここでは建築士になるとどんないいことがあるかを紹介しようと思います。

 

 

建築学科に入ってよかったこと

デザインか工学か

一般的なイメージで言えば、「建築学科」とは「建築士」になる学科です。そして「建築士」とは「意匠設計者」です。

 

少なくない数の学生がそうしたイメージを持って入学してきます。みんながみんな、将来は「建築家」になるものだと思っています。

 

もちろん、将来「建築家」と呼ばれる人がクラスメートの中から出てくるかもしれません。しかし、その可能性はかなり低いです。

 

それどころか、「意匠設計」を生業にする人自体も多数派ではありません。野球部に入ったからといって、全員がピッチャーになれないのと同じです。

 

早い人は最初の設計課題で気づきます、「自分は意匠設計者になれない」と。バッコも早い段階で気づいた一人です。

 

しかし、デザインで一番になれなくても、建築士として一流になる道はあります。自分の専攻を「構造」や「設備」といった「工学」に切り替えればいいのです。

 

「デザイン」と「工学」という異なる分野両方を学べるのが建築学科の魅力です。おかげ様で、あまりデザインのセンスは無かったものの、建築の最前線で仕事をすることができています。

 

他の学科でもいろいろな専攻があります。ただ、あくまでも同じ「工学」の中での違いです。建築学科ほど振れ幅は大きくありません。

 

工学部にしては女子が多い

男子は理系、女子は文系が多いです。男女で脳の構造上は優位な差は無いようですが、「女子は算数が苦手だから」と繰り返し聞かされることで苦手意識が植え付けられ、結果として差がついてしまうようです。

 

工学部は理系の学部なので、男子が圧倒的に多いです。機械工学科や電気工学科に行くと、女子はほんの数人、場合によってはゼロすらあり得ます。

 

そんな中、工学部内で圧倒的な女子の数を誇るのが建築学科です。知り合いの学校では男女比が1:2で、女子が男子の倍だったそうです。

 

男子諸君は単純にうれしいですし、女子も少数派にならずに済むので過ごしやすいようです。実際には泥臭いことも多い建築の世界ですが、華やかなイメージもあるおかげです。

 

別にサークルでもバイトでもすれば女性と知り合う機会はいくらでもありますが、4年間を一緒に過ごす仲間に女性が一定数いるというのはいいものです。実際クラスメート同士の結婚は珍しくありません。

 

建築士になってよかったこと

客先に一番近い

「自社ビルを建てたい」、「マンション開発をしたい」、となったときに、初期に声がかかるのは建築士です。現場監督や建材メーカー、その他の方々は必ずその後になります。

 

釘の一本も打ちませんが、建物を建てる最初の一歩は建築士から始まります。実際に建てる喜びもあると思いますが、建築の一番川上に立てるというのは気に入っているところです。

 

また、お客さんに近いということは、立場が上になるということです。接待する側ではなく、受ける側になることの方が多いです。

 

偉そうにしたいわけではありませんが、あまり気を使わなくてもいいのは楽です。

 

設計は内勤

現場監督や職人さんたちはとても大変です。かなり過酷な仕事だと思います。

 

真夏の作業現場、頭上の太陽と足元のデッキプレート(床の一部となる鋼板)からの照り返しで、さながらBBQ状態です。真冬は真冬で、雪の降る中冷たい湧き水の処理に苦慮することもあります。

 

設計を生業とする建築士は、工事監理以外では作業場に足を運びません。しかもチェックするのが仕事なので、本当に大変なのはチェックされる側の職人さんたちです。工事監理で作業所に立ち寄る度に、「偉いなぁ、大変だなぁ」と感心させられます。

 

設計者は基本的に内勤です。締め切りの大変さはありますし、徹夜もしますが、それでも楽をさせてもらっていると感じます。

 

自宅購入

ほとんどの人にとって人生で一番高い買い物になるのがマイホームです。そのマイホーム購入に関して、アドバンテージがあると言えるでしょう。

 

建築士であれば、一般の方が悩んでしまうようなことでもすぐに解決できる場合があります。営業トークに惑わされることもありません。まぁ、知り過ぎていることが逆に足枷になる場合もありますが。

 

モデルルームやモデルハウスに行って身分を明かすと、とても丁寧に対応してもらえます。間違った説明をされるときもありますが、それはそれで楽しいです。

 

自分で設計することもありますし、いろいろとハウスメーカーに注文を付けることもできます。知人の家づくりにアドバイスすることもあります。

 

どんな職業でも役に立つ場面はあると思いますが、金額面で言えば建築士が一番役に立つかもしれませんね。