2022-01-01から1年間の記事一覧
「地震に強い家を建てたい」と思ったときに、みなさんならまずどうするでしょうか。「住宅展示場に行ってみる」、「近所の工務店で聞いてみる」という人もいるでしょうが、「まずはネットで検索してみる」という人の方が多いのではないかと思います。 ではど…
今現在、最高の地震対策技術は「免震」です。そしておそらくこれからも最高の技術であり続けるでしょう。 免震構造がわかる 1995年の兵庫県南部地震以降、免震建物はその数を急激に伸ばしており、今や戸建て住宅から超高層建物まで、幅広く適用されています…
地震の力に耐える部材というと、柱や壁のような上の階と下の階とをつなぐ「縦」の部材を連想しがちです。しかし、実際には縦の部材同士をつなぐ「横」の部材である梁(はり)も大きな役割を果たします。 梁がよくわかる 電柱や煙突などの細長い構造物は柱一…
2022年9月18日、仙台市のホテルにて「建物が大きく揺れたため宿泊客が避難する」という事態が起こりました。制振装置の誤作動が原因ではないかとされています。 本来は建物の揺れを小さくするための装置がなぜ逆に建物を揺らしてしまったのでしょうか。装置…
古民家や寺社などの伝統的な木造の建物の壁には「土壁」が使用されています。現代の住宅の壁は合板を釘打ちしただけのものが大半ですが、昔は手間暇かけて一つずつ土を塗っていたのです。 土壁には遮音や調湿の効果がありますが、地震が起こったときには建物…
現代の木造住宅にはたくさんの「釘」が使われています。住宅一軒当たり数万本も使用されているとか。 釘のおかげで材と材を簡単に接合することができます。建物の弱点となる材のつなぎ目を留める、小さいながらも非常に重要な部品なのです。 その中でも特に…
構造設計に関するブログを書いていると、家づくりの相談に乗ってほしいという問い合わせがきます。専門家からすると意外なところで悩んでいる方もおり、まだまだ情報発信をする価値はあるのかなと感じます。 ここでは比較的よくある相談内容である「基礎の配…
実は通常の構造設計では、地震によって建物がどのように揺れるかは計算しません。ルールに沿って地震の力を決めるだけなので、電卓さえあれば計算できてしまいます。 構造設計者の三種の神器 形が整った建物、高さの低い建物であれば、ルールに従うだけでそ…
地震が起こったときにどんな被害が出るか、それを確かめるには実際に地震が起こったときと同じように揺すってみるのが一番です。そのための装置として「振動台」があります。 しかし、建物のように巨大なもので実験するには大型の振動台が必要です。大型にな…
地震が起こったり、風が吹いたり、あるいは人がぶつかったりするとモノが揺れます。しかし、いつまでも揺れているわけではありません。いつかは揺れが収まります。 揺れが収まるのは「減衰」があるからです。「減衰」とはモノが振動するエネルギーを吸収・発…
地震時に建物に生じる揺れは複雑です。地盤と建物の動きが相互に影響しあうため、地盤と建物の両方の情報が必要になります。 建物だけであればある程度のことはわかりますが、地盤は非常にやっかいです。高い費用をかけて建設地の地盤をあれこれ調査しても、…
建物の揺れというのはなかなか複雑なもので、簡単に理解することはできません。また、完全に解明されているわけでもなく、今後も研究が続けられていくでしょう。 しかし、わかっていることもたくさんあります。力学モデルを構築してさまざまな解析を行ったり…
震度6強や震度7の大きな地震が過去に何度も発生しています。この規模の地震が起こると、ほとんどの場合人的被害が発生してしまいます。 しかし、同じ震度の地震であっても被害の程度が大きいものと、そうでもないものとがあります。この違いは一体何によるも…
「駅前に高層ビルができたね」だとか「停電時は低層のほうが安心だ」というような会話を交わしたことがあるかと思います。 建物の高さを表す際に、いちいち「○階建て」「○○mくらい」とは言わず、低層・中層・高層と表現したほうが便利な場面も多いです。また…
地震時に建物に生じる振動のエネルギーを吸収する装置を「ダンパー」と言います。 ダンパーは、使用する材料の違いや、エネルギーを吸収する機構の違いなどによって分類することができます。それぞれに特徴があるため、設計する建物に応じて使い分ける必要が…
建築基準法には建物を建てる際の決まり事が書かれています。その中には当時の最新の知見をもとに盛り込まれたものもありますし、慣習的に行われてきたことが明文化されたものもあります。 しかし、時代と共に建物は少しずつ変化していきます。当時の建物にと…
住宅を建てる際、地盤の良し悪しを気にする人も多いです。 硬い地盤であればそのまま建物を建てることができますが、軟弱な地盤であれば地盤改良や杭打ちが必要となることもあります。当然それには費用がかかりますので、その分だけ建物にかけられる費用が少…
鉄骨造や鉄筋コンクリート造で自宅を建てた理由として「木造は耐久性が低いから」ということを挙げる方がいます。確かに、鉄やコンクリートと比べ、自然材料の木は周囲の温度や湿度の影響を受けやすいと言えます。 神社やお寺など、何百年と歴史のある木造建…
耐震性の高さを売りにしているハウスメーカーは多く、大手では振動台実験の結果を用いて大々的に宣伝しています。 以前はいかに大きな地震に耐えたかがポイントでしたが、熊本地震以降は複数回の揺れに耐えられるというのが一つのトレンドになっています。 …