バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

2020-01-01から1年間の記事一覧

球面すべり支承とは:金属を用いた合理的な免震システム

1995年の阪神淡路大震災以降、数多くの免震建物が建てられてきました。近年では高層マンションや一定規模以上の病院ではかなりの確率で免震構造が採用されています。 免震構造がよくわかる 免震構造を「ゴムの上に載っていて地震の揺れが伝わらない建物」と…

熊本地震の被害状況から考える木造住宅の耐震性

2016年の熊本地震では二度の大きな揺れに見舞われました。特に益城町では震度7を二回記録するという、過去に例のないものでした。 建築基準法では二度の大きな揺れは想定していません。そのため一度目の地震には耐えられても、二度目の地震には耐えられなか…

基礎パッキンの耐震性は?基礎上に敷くだけで地震に効果があるのか

自然材料である木にとって湿気は天敵です。高温多湿の日本では換気が非常に重要になります。 特に、地面に近い1階の床下は湿度が高いので換気が欠かせません。 そのため、近年では床下の換気をスムーズに行えるよう「基礎パッキン」と呼ばれる材を住宅の基礎…

傾斜マンションの安全性を考える:杭と傾斜と耐震性の関係

2015年10月に横浜市、2020年5月に福岡市のマンションの傾斜問題が報じられました。 人生で一番大きな買い物がマンションだという人も多いことでしょう。それだけに問題が発生したときの影響は深刻です。 また、自分一人の所有物ではありませんので、意思の統…

家具の転倒防止:必要な対策は戸建てかマンションかで変わる

耐震工学の進んだ日本であっても、大きな地震が起きるたびに人的被害が発生します。死亡者数に目が行きがちですが、負傷者数はその数倍から数百倍とケタ違いに多くなります。 死亡の原因の大半は家屋の倒壊および家具の転倒による圧死です。また、負傷の原因…

転倒モーメントがわかる:重心位置との関係と計算方法について

建物が地震で倒れるのは、柱や梁が損傷して重さを支えられなくなるからです。ですので、柱や梁を地震に耐えられるよう頑丈にすれば問題は解決します。 しかし、どれだけ柱や梁を補強しても倒れてしまう場合があります。 例えば、本棚や食器棚のような背の高…

誰でもできる基礎の配筋検査:施主の立会いはとても効果的

家を建てるなら木造でしょうか、鉄骨造でしょうか、あるいは鉄筋コンクリート造でしょうか。どの材を選ぶかで家づくりは大きく変わってきます。 ただ、どの材を選んでも絶対に基礎は鉄筋コンクリート造になります。建築基準法に定められているからです。 基…

地震地域係数とは:過去の地震との対応とその意義

日本が地震大国であることは周知の事実です。人的被害を伴うような大きな地震が少なくとも数年に一度は起こっています。 そのため、日本のビルと地震のほとんどない国のビルとを比べると、明らかに日本のビルの方が骨太な感じがします。日本では重力だけでな…

耐震等級の最もわかりやすい説明:これを知らずに家を建てるなかれ

家を建てる際、耐震性が気になるという方はたくさんいます。地震に強い家を建てるための情報を求めて、いろいろなワードで検索します。 そのとき必ず出会うのが「耐震等級」という言葉です。いろいろなサイトで耐震等級の説明がなされており、建物の耐震性を…

木造超高層ビルの可能性:その意義・耐震性・コストを考える

超高層ビルの建設が行われ始めたころ、超高層ビルと言えば鉄骨造でした。近年はコンクリートの高強度化が進み、鉄筋コンクリート造のものもかなり建てられるようになりました。 そして、昨今では超高層ビルを木造で建てようという計画・構想がいくつも発表さ…

耐風梁がよくわかる:吹き抜けからALC受けまで

建物を構成する骨組のうち、水平な部材一般を「梁(はり)」と言います。 梁の主たる役割は、床などの重量を柱まで伝達することです。支える床の面積や柱間の距離に応じて梁の大きさを決定します。 梁がよくわかる しかし、建物に作用する力は重力だけではあ…