バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

耐震・制振・免震

アンボンドブレースがわかる:座屈しないとこんなにも使いやすい

建物に作用する地震の力にどうやって抵抗するか、それにはいろいろな方法があります。「曲げ」によって抵抗する「ラーメン構造」、「せん断」によって抵抗する「壁式構造」、そして「伸び」により抵抗する「ブレース構造」などがあります。 ラーメン構造がわ…

減震パッキン『UFO-E』の効果を再考する

基礎と建物との間に挟み込む、直径90mmの小さな「UFO-E」という金物があります。この金物を設置するだけで、建物に伝わる地震の力を大幅に減じることができるということです。 もし本当に素晴らしい効果があるのであれば、画期的な商品です。非常に興味を引…

免震構造を科学する:簡単な力学で免震の効果を理解しよう

「免震」というと、なんだか最新の技術のように思われる方もいますが、実際にはかなり長い歴史があります。 1890年代にはすでにアイデア自体はあり、その後いくつも特許が出されています。建物を縦横に並べた丸太の上に載せる、ボールの上に載せる、ヒョロヒ…

耐震等級3と耐震等級2+制振はどっちが強い?構造設計のプロが回答

建物の耐震性能を表す指標として「耐震等級」があります。等級は1から3まであり、3が最高評価です。 耐震等級1は現行の建築基準を満たす耐震性を有していることを示しており、耐震等級2ではその1.25倍、耐震等級3では1.5倍の強さを有していることになります…

構造設計のプロがUFO-Eの摩擦減震効果について徹底検証

戸建て住宅では、高層ビルでは使用しないような変わった技術があります。建物規模が小さく重量が軽いこと、特例により構造計算が必要ないこと等が影響していると考えられます。 特徴的なものとして、「制震テープ」や「エアー断震」が挙げられます。他に例を…

免震装置の種類と特徴:免震支承から免震ダンパーまで

東洋ゴム工業の免震ゴム、KYBの免震ダンパー、免震構造に関する不祥事が社会問題となりました。連日テレビで取り上げられる大変な事態でした。しかし、その割に免震に関する理解が十分に広がっていないように感じられます。 東洋ゴム工業の免震ゴムデータ不…

オイルダンパーの原理と仕組み:制振ダンパーから免震ダンパーまで

以前に比べ、「制振」・「免震」という用語が一般化してきたように思います。 住宅展示場に行けば、いろいろなハウスメーカーが制振や免震を進めてきます。タワーマンションのパンフレットを見ても制振や免震の文字が躍っています。 この制振や免震に欠かせ…

残留変位とは?制振・免震建物の応答に与える影響

針金をほんの少しだけ曲げてから手を離すと、針金は元に戻ります。しかし、グイっと曲げてしまうと、手を離しても元に戻らなくなります。 建物の場合も同様で、小さな地震の後では元に戻ったとしても、大きな地震の後では元に戻らないことがあります。変形し…

仕口ダンパーとは?お手軽に導入できる制振装置の代表格

地震や強風による建物の揺れのエネルギーを吸収し、揺れ幅を低減する装置を制振ダンパー、あるいは制振装置と呼びます。 戸建て住宅用の小型のものから超高層ビルにも使用できる大型のものまで、いろいろなサイズがあります。最近の大手ハウスメーカーの注文…

免震レトロフィットとは:最も効果のある耐震補強工法

1981年以前に建てられた建物は、現行の耐震基準に適合していない可能性があります。2016年の熊本地震では、建設年が1981年以前か以後かで建物の倒壊率に大きな差がありました。 建物の耐震性を向上させるには耐震改修を行うしかありません。しかし、実際に工…

KYBの免震・制振装置のデータ改竄:構造設計者が思うこと

2018年10月、KYBとその子会社のカヤバマシナリーが「免震用オイルダンパー」および「制振用オイルダンパー」の検査データを改竄していることが明らかになりました。 横浜での杭打ちデータ不正、東洋ゴム工業の免震装置データ不正と建築業界で不祥事が続いて…

制震テープの効果は?構造設計のプロが本当の性能を徹底解説

世の中にはいろいろな種類の制振ダンパーが出回っていますが、その中でも異彩を放っているのが「制震テープ」です。 制震テープ単体では制振ダンパーとは呼べません。耐力壁にこのテープを貼り付けることで、ただの耐震の壁が制振の壁へと変化するのです。 …

構造設計のプロが住友ゴムの「ミライエ」をお薦めする4つの理由

今一番売れている木造住宅用の「制振ダンパー」と言えば、住友ゴム工業の「ミライエ(MIRAIE)」でしょう。 木造住宅を手掛ける大手ハウスメーカーの大半は、独自の「制振ダンパー」を開発しています。自社の耐震性能の高さをアピールするためなので、「A社…

不動産投資のリスク低減:地震対策は免震にすべき3つの理由

日本人は諸外国に比べ銀行預金が好きと言われますが、株式やその他いろいろな投資を行っている方も増えてきているかと思います。 投資にリスクは付き物ですが、中でも単価が大きい不動産投資は気を付けて行う必要があるでしょう。また、日本は自然災害が多く…

東洋ゴム工業の免震ゴムデータ不正:構造設計者が考える最善の対応

2015年3月に東洋ゴム工業(現TOYO TIRES)が製造する免震ゴムの不正が明らかになりました。 病院や庁舎を含め多くの建物が対象となっており、建築の品質に関する信頼が大きく揺らいでいます。 不正があったと考えられる免震ゴムの全数を取り換えるということ…

木造住宅に最適な制振・制震ダンパーはどれ?価格・耐久性・耐震性を比較

木造をメインとする大手ハウスメーカーの大半が独自の制振ダンパー(制振装置)を開発しています。 □■□疑問■□■ 数ある制振ダンパーの中で、木造住宅に最も適しているのはどれでしょうか。 □■□回答■□■ 耐震構造でも十分安全な建物にすることは可能ですが、も…

軟弱地盤こそ免震構造にするべき:地盤と免震に関する勘違い

平成12年の建設省告示2009号の第6による方法では、第3種地盤と呼ばれる軟弱な地盤や液状化の恐れがある地盤では免震構造の設計を行うことができません。 □■□疑問■□■ 軟弱な地盤では免震の効果を発揮できないため、免震建物を建設することはできないと聞きま…

タワーマンションに住むなら制振か免震か?専門家でも決めかねる難問

近年建設されるタワーマンションの大半が制振構造または免震構造となっています。 □■□疑問■□■ スーパーゼネコン各社がタワーマンション用の高性能な制振システムを開発しています。それでも免震構造が耐震性に最も優れた構造なのでしょうか。 □■□回答■□■ 基…

切替え型ダンパーが免震構造を守る:巨大地震に備えた新たな制御技術

近い将来に発生が予測されている南海トラフ地震では、東北地方太平洋沖地震を上回る揺れが首都圏、関西圏に生じるでしょう。 □■□疑問■□■ 設計時に想定した地震よりも大きな地震が発生した場合、免震建物はどうなるのでしょうか。 □■□回答■□■ 免震建物の下部…

慣性質量ダンパーができること:モード制御と変位増幅

今まで構造設計者は、建物の硬さをコントロールすることはできましたが、建物の重さをコントロールすることはできませんでした。 □■□疑問■□■ 慣性質量ダンパーとはなんでしょうか。通常の制振ダンパーとは何が違うのでしょうか。 □■□回答■□■ 慣性質量ダンパ…

超長周期化した免震構造はどうなる?固有周期8秒の免震の是非

免震構造では「免震層」と呼ばれる柔らかい層の効果により地震の力を大幅に低減することができます。 □■□疑問■□■ 「免震層」をもっと柔らかくしていくとどうなるのでしょうか。柔らかいほど地震の力を小さくできる気がします。 □■□回答■□■ 免震層を柔らかく…

時刻歴応答解析がよくわかる:免震建物・超高層ビル検証の必須技術

免震建物や超高層ビルは通常の建物に比べてゆっくり揺れます。揺れ方が違うということは地震の時に生じる力が違うということです。地震の力を算定するには「時刻歴応答解析」を行います。 □■□疑問■□■ 「時刻歴応答解析」がよくわかりません。通常の構造計算…

中低層マンションに住むなら免震:コスト増でもそれだけの価値がある

耐震・制振・免震の違いを知ることも大切ですが、戸建住宅かマンションか、中低層か高層かで適した構造は違ってきます。 □■□疑問■□■ 耐震・制振・免震のメリット、デメリットを考慮したうえで、中低層のRC造マンションにはどの構造が最適でしょうか。 □■□回…

免震構造の設計方法:免震層の基本的な数値を押さえよう

免震構造の普及に伴い、今や大手設計事務所やゼネコンだけが手掛けるものではなくなりました。地方や中小の企業でも免震構造の設計を行うようになっています。 免震構造の設計で最も重要なのは「免震層」の設計です。免震層は建物の基礎や建物下部に設置され…

免震構造がよくわかる:固有周期・振動モード・エネルギー吸収

1995年の兵庫県南部地震以降、免震建物の着工数は大幅に上昇しました。今ではかなりの数の免震建物が日本中にあります。 □■□疑問■□■ 免震構造とは結局のところどういう建物を指すのでしょうか。「地震を免れる」と言われてもよくわかりません。 耐震・制振・…

竹中工務店の超高層制振マンション:THE制振ダブル心柱システムの考察

スーパーゼネコン各社のタワーマンション用の制振、免震システムの考察もとりあえず最終回となる5回目です。 □■□疑問■□■ 竹中工務店の独自技術、THE制振ダブル心柱を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム) …

空気で浮かぶエアー断震は免震よりも優秀か?法律は置いておくとして

空を飛んでいれば地震も怖くない、構造設計者なら誰しも一度は考えたことがあるアイディアです。 □■□疑問■□■ 宙に浮く建物「エアー断震」がテレビで取り上げられていました。耐震や制振はもとより、免震よりも優れた性能を発揮するのでしょうか。 □■□回答■□■…

大成建設の超高層制振マンション:TASS Flex-FRAMEの考察

スーパーゼネコン各社のタワーマンション用の制振、免震システムの考察も4回目となりました。 □■□疑問■□■ 大成建設の独自技術、TASS Flex-FRAME(タス・フレックス・フレーム)を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム…

清水建設の超高層免震マンション:スイングセーバーの考察

スーパーゼネコン各社がタワーマンション用の制振、免震システムの開発を競っています。 □■□疑問■□■ 清水建設の独自技術、スイングセーバーを採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム) 鹿島:スーパーRCフレー…

制振・制震ダンパーの種類と特徴:構造設計者が効果を徹底比較

制振構造はエネルギー吸収を行うダンパー(制振装置)の設置方法やその種類等によって、いろいろと分類することができます。 □■□疑問■□■ いろいろな種類のダンパーがあり、どれがいいのかわかりません。違いや特徴を教えてください。 □■□回答■□■ 使用する材…