バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

博士になって変わること、変わらないこと:ゼネコン博士の現状

ブログタイトルにあるように、著者のバッコは博士(工学)です。 □■□疑問■□■ 民間企業に勤める博士の数はまだまだ少ないようですが、何か特典やインセンティブのようなものはあるのでしょうか。 □■□回答■□■ 企業ごとに様々だと思いますので、ある大手ゼネコ…

トラス構造とラーメン構造:軸力による伝達と曲げによる伝達の違い

三角(△)の組み合わせでできているのがトラス構造、四角(□)の組み合わせでできているのがラーメン構造です。 □■□疑問■□■ トラス構造とラーメン構造の違いは何でしょうか。実際の設計において、どのように使い分けているのでしょうか。 □■□回答■□■ トラス…

有限要素法(FEM)と建築の親和性:安易な適用にはご用心

建物の構造解析モデルは線材要素(太さを考慮しない要素)とばねの組み合わせでできています。 □■□疑問■□■ 有限要素法を用いれば各部材の厚さ、太さを考慮した高精度な解析が可能です。解析の制度が向上することで新しい建物の設計が可能になることはあるで…

あえて壊すという設計はありか?マンションの雑壁に見る余剰耐力

大地震後、建物が倒壊に至らなくても補修が困難な場合は建て替えが行われます。 □■□疑問■□■ 地震後に壁という壁が全てビリビリにひび割れたマンションの映像を見ることがあります。しっかりと設計されていてもあれだけの被害が生じるのでしょうか。 □■□回答■…

超高強度材料は建築を変えるか:超高張力鋼と超高強度コンクリート

建物が巨大化、高層化するにつれ、材料の高強度化も進んでいます。 □■□疑問■□■ 昔に比べてとても強いコンクリートや鋼材が開発されています。もっと細い材料だけでできた軽快な建築物が今後増えていくのでしょうか。 □■□回答■□■ 従来の製品に比べコンクリー…

免震構造がよくわかる:固有周期・振動モード・エネルギー吸収

1995年の兵庫県南部地震以降、免震建物の着工数は大幅に上昇しました。今ではかなりの数の免震建物が日本中にあります。 □■□疑問■□■ 免震構造とは結局のところどういう建物を指すのでしょうか。「地震を免れる」と言われてもよくわかりません。 耐震・制振・…

静定構造と不静定構造の実建物における違い:力学と実現象の架け橋

構造力学の授業でまず習うのが「静定構造」、その次に習うのが「不静定構造」です。 □■□疑問■□■ 「静定構造」と「不静定構造」が具体的にどういうものなのかわかりません。また、構造設計の際にどのように使い分けするのでしょうか。 □■□回答■□■ 「静定構造…

竹中工務店の超高層制振マンション:THE制振ダブル心柱システムの考察

スーパーゼネコン各社のタワーマンション用の制振、免震システムの考察もとりあえず最終回となる5回目です。 □■□疑問■□■ 竹中工務店の独自技術、THE制振ダブル心柱を採用したマンションの性能はどうでしょうか。 大林:DFS(デュアル・フレーム・システム) …