バッコ博士の構造塾

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新国立競技場の次の目玉建築は清水が受注?スーパーゼネコンの施工歴

今、日本でももっとも注目されている建設現場と言えば新国立競技場でしょう。

 

□■□疑問■□■

東京オリンピックのメーン会場となる新国立競技場は大成建設が受注しました。次の目玉建築はどこが手掛けることになるでしょうか。

 

□■□回答■□■

清水建設が最有力候補ではないでしょうか。次いで鹿島建設だと思います。もちろん建物の特性(ドームか塔かビルか、規模、立地)によって流動的ですが、近年話題になるプロジェクトから最も遠ざかっているのが清水建設です。技術のアピールや、業界外への宣伝効果が非常に大きいため、多少の赤字は覚悟で積極的に受注に動く可能性が高いです。

 

 

鹿島建設:東京駅の免震レトロフィット(2007-2012)

1914年に竣工した東京駅の丸の内駅舎は、辰野金吾によって設計された国の重要文化財です。東京駅は1日40万人以上が利用する巨大ターミナル駅でもあります。

 

この巨大な建物を多くの利用者がいる中、耐震性を大幅に改善するため「免震化」による補強工事を行ったのが鹿島建設です。

 

保存部分は既存のレンガ壁や鉄骨を構造体として生かしつつ、復元部分は鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリートによって構成しています。免震層は重要文化財である地上部と、新設された地下躯体との間に設けられています。免震層には352台の免震装置と158台のオイルダンパーが設置されています。

 

巨大プロジェクトではありますが新築工事ではない分、一般の方々の注目度は下がってしまったかもしれません。ただ、非常に難易度の高い工事であることから建築業界からは熱い視線が注がれていました。

 

大林組:スカイツリー(2008-2012)

634mの高さを誇る巨大な電波塔です。日本ではもちろん、独立した電波塔としては世界最高高さです。建造物としてもブルジュハリファ(828m)に次ぐ世界第二位の高さです。

超高層ビルの高さの限界:ブルジュハリファを超えて

 

この注目度No.1の巨大電波塔を見事受注したのが大林組です。

 

地震大国の日本に建てられる超超高層の建造物ということで、設計内容についても何度もテレビで取り上げられました。五重塔に使用されている心柱から名前を取った「心柱制振」も有名になりました。

五重塔はなぜ倒れない:構造のわからなさがわかる話

 

日本人の誰もが知る注目プロジェクトでしたので、大手各社は赤字覚悟で入札したでしょう。工事費は「1mあたり1億円」なんていう噂もありました。

 

竹中工務店:あべのハルカス(2010-2014)

それまで20年以上に渡り日本最高の高さを誇った「ランドマークタワー」を抜き、新たに日本一となったのがあべのハルカスです。ついにビルとしては初めて300mの大台に達しました。それが東京ではなく、大阪に建つということで、西日本での注目度は非常に高いものでした。

 

この西日本最大のプロジェクトを、関西で強い影響力を持つ竹中工務店が受注しました。

 

他の超高層ビルは周辺の敷地に余裕があるものが多いのに比べ、あべのハルカスでは密集した市街地での工事でした。上部でセットバックした形状は、施工ヤード確保の側面があったようです。

 

設計と施工が一体となって成し遂げた一大プロジェクトです。

 

大成建設:新国立競技場(2016-2019)

2020年の東京オリンピックのメーン会場となる、巨大な施設です。当初のザハ案のインパクトや、その後のバタバタも相まってものすごい注目を浴びました。工事費は1000億を軽く超える、超巨大プロジェクトです。

 

紆余曲折はありましたが、旧国立競技場を手掛けた大成建設が受注、目下工事中です。無事竣工することを祈ります。

 

遠くからでもたくさんのクレーンが林立しているのがわかり、工事現場の場所を教えています。行政の不手際により非常に短い工期となっていることから、様々な工期短縮策が取られているようです。

 

オリンピック終了までは間違いなく最注目プロジェクトでしょう。

 

清水建設:???

どうもここ最近は清水建設施工の注目プロジェクトが無いように感じます。もしかしたらあるのかもしれませんが、特に思い当たりません。宣伝効果を考えれば、そろそろ本気で受注しにくるころではないでしょうか。

 

鹿島建設の東京駅はやや業界外からは地味な印象もあるため、もしかしたら鹿島も狙ってくるかもしれません。両社の動きに注目です。