バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

大手設計事務所・ゼネコン設計部に新卒で就職するには学歴が全て

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自分が楽しめること、成長できることを軸に就職先を選ぶ人も増えてきているでしょうが、やはり大手狙いの安定志向というのは依然として強いです。

 

□■□疑問■□■

将来、大きなプロジェクトに設計者として携わりたいと思っています。大手の設計事務所、ゼネコン設計部に就職するにはどうしたらいいでしょうか。

 

□■□回答■□■

同じ大手ゼネコンであってもスーパーゼネコンとその他では大きく違います。設計事務所では日建設計が頭一つ抜けています。このクラスに絞って話を進めます。まず、基本的に大学院修士課程まで終了する必要があります。国立大では旧帝大、東工大クラス、私立大では早稲田、東京理科、日大を狙うのがいいかと思います。学部で上記大学に行っていないようであれば、院からでも行くようにしたほうがいいです。

 

 

ここ数年の新入社員の出身大学

国公立大

国公立大で建築学科があるところを調べると43件と出ました。知人・友人に確認したところ、そのうち入社実績があるのは、ここ数年に限ると10校+α程度です。

 

東大、京大、東工大、その他有名大学がずらり、といった感じです。もちろん全員を調査して回ったわけではないですが、かなり大学の数としては少ないです。

 

出身の大学院ではなく、大学まで広げれば若干その他の大学からも来ています。ただ、大学院からそれらの大学に来た人よりも、内部進学した人の方が就活時の評価は高い傾向にあります。

 

私立大

私立大で建築学科があるところを調べると97件と出ました。そのうち入社実績があるのは国公立よりも少なく、ここ数年に限ると10校を下回りそうです。

 

早稲田、東京理科、日大がかなりの割合を占めています。もちろん学生数自体が多いのもありますが、それ以上に多い印象です。

 

私立大では大学院へ内部進学した人ばかりでした。そもそも外部進学してくる人が少ないのでしょう。

 

その他

学部卒、つまり大学院にいっていない人も若干混ざっていますが、圧倒的に少数です。大手で設計をしたいなら確実に大学院まで進学しましょう。現在通っている大学のレベルが基準に満たないのであれば、大学院では内部進学せず上記の大学を目指しましょう。

 

最近は海外大学出身者や、日本の大学を卒業した海外の方もちらほら混ざるようになってきました。多様化を意識してのことか、海外プロジェクト対応のためなのかはわかりませんが、海外経験者の増加は近年顕著です。

 

以前は4月の一斉入社にタイミングが合わないということで避けられる傾向にあった海外大学出身者ですが、優秀な人を確保するにはそんな怠慢は許されないということでしょう。

 

東京理科大、日大は研究室が大事

国立大および早稲田出身者は多様な研究室から人材が集まっています。どこの研究室かということに関わらず、会社が求める人物像に一致していれば採用に至ります。

 

その他の私立大からは特定の研究室出身者が多いです。建築業界において影響力のある先生の研究室です。そういった研究室に優秀な学生が集まりやすいというのもあると思います。

 

しかし、先生の名前が効いているのも確かでしょう。大体はゼネコンや設計事務所で実務経験のある先生です。研究一筋の先生よりも、実務のことがわかる先生の方が企業に対して影響力が大きいです。

 

自分の研究したいことを専門としている研究室に入るのが本来は正しいです。ただ、大手で設計をしたいのなら、研究室選びも慎重に行った方がいいです。卒業生の進路などを事前に調べておきましょう。

 

就職情報あれこれ

英語はできたほうがいい?

できないよりはできたほうがよっぽどいいです。ただし、英語ができないからといってあきらめる必要は全くありません。

 

10年くらい前はTOEIC500前後がゴロゴロいました。700点くらいで「なかなか立派だね」と言われるレベルでした。さすがに最近は700点くらいならザラにいますし、800点を超えてこないとあまり目に留まりません。

 

ただやはり英語より人物重視です。迷ったときに英語で比較、というのはあるかもしれません。英語を頑張るよりも、しっかり研究に打ち込んだ方が評価は高まります。

 

女性は地方採用?

地方採用、地域職、担当職、専任職、呼び方はいろいろありますが、「転勤が無い代わりに給料が安い」という採用枠があります。最近は無くなったと思うのですが、以前は「女性はその枠ね」といった風潮がありました。

 

就活生からすればまったくもってけしからん制度ではありますが、女性の離職率の方が高いのもまた事実です。とはいえ時代遅れの制度であることは明らかです。この制度の撤廃が遅れたせいで優秀な女性を他社に取られた会社もあります。

 

今は男女平等に門戸が開かれているはずです。しかし、何年か上の先輩社員の中には女性であるというだけで、優秀でありながら安い給料に甘んじている人達がいます。新入社員の自分よりも仕事ができ、長く働いているにも関わらず、給料は同じくらいかもしれません。

 

少しずつ総合職への移行が進んでいるとはいますが、軋轢がまったくないとは言えません。そういう事情もあるということは知っておいた方がいいかもしれません。

 

中途採用

どの会社も就職氷河期世代、30代後半から40代前半は人手が不足しています。働き盛りで一番欲しい年代です。バブル世代は掃いて捨てるほどいますが。会社の採用方針の一貫性の無さにはがっかりですが、そうなっているものは仕方ありません。

 

中途採用は随時募集という感じのところが多いですが、企業に育てられていないせいか優秀な人材が十分な数集まりません。とはいえ、それなりの人数は採用しているようです。

 

環境が変わるとすぐにはポテンシャルを発揮できないので、実力を認めてもらうのは大変だと思います。会社のカラーもあるので新卒より大変そうです。