バッコ博士の構造塾

建物の安全性について本当のプロが綴る構造に特化したブログ

線形・非線形とは:知っておくべき違いと解析における使い分け

中学生の頃、「フックの法則」というものを習ったかと思います。バネを引っ張るとき、バネの伸びと引っ張る力の大きさは比例する、というものです。 10kgfの力で引っ張ると3cm伸びるのであれば、20kgfの力で引っ張れば6cm伸びるわけです。簡単な話ですね。比…

火打ち梁がよくわかる:建物の重量を負担しない変わった梁

鉄骨造やコンクリート造の建物に比べ、木造の建物は細かな多数の部材で構成されています。自然材料であるため、大きな断面の部材が使いにくいことや、材料の強度が低いことが影響しています。 そのため、他の構造ではあまり見られないような部材が必要になる…

エキスパンションジョイント(EXP.J)とは?橋から免震まで

橋や高速道路と言った土木構造物、スタジアムや超高層ビルと言った建築構造物、これらは人間が造るものの中で最も大きなものの一つでしょう。 大きいということは、それだけで特別なことです。大きいが故にいろいろな問題を引き起こす場合があります。どれだ…

応答スペクトルとは?地震の特性を理解する一番わかりやすい指標

地震の揺れを観測するため、日本中に地震計が設けられています。地震計位置における加速度データは記録され、耐震工学の発展をはじめ、いろいろなことに使用されています。 しかし、その記録された地震波のデータを見ただけではほとんど何もわかりません。せ…

減震パッキン『UFO-E』の効果を再考する

基礎と建物との間に挟み込む、直径90mmの小さな「UFO-E」という金物があります。この金物を設置するだけで、建物に伝わる地震の力を大幅に減じることができるということです。 もし本当に素晴らしい効果があるのであれば、画期的な商品です。非常に興味を引…

柔構造・剛構造とは?結局どちらが地震に強いのか

もし突然、「硬い家と柔らかい家、どちらに住みたいですか?」と聞かれたらなんと答えるでしょうか。 「柔らかい家になんて住めないだろ」という人が多いかもしれませんが、「柔らかい方が地震の力を受けにくい、と聞いたことがある」という人もいるかもしれ…

免震構造を科学する:簡単な力学で免震の効果を理解しよう

「免震」というと、なんだか最新の技術のように思われる方もいますが、実際にはかなり長い歴史があります。 1890年代にはすでにアイデア自体はあり、その後いくつも特許が出されています。建物を縦横に並べた丸太の上に載せる、ボールの上に載せる、ヒョロヒ…

耐震等級3と耐震等級2+制振はどっちが強い?構造設計のプロが回答

建物の耐震性能を表す指標として「耐震等級」があります。等級は1から3まであり、3が最高評価です。 耐震等級1は現行の建築基準を満たす耐震性を有していることを示しており、耐震等級2ではその1.25倍、耐震等級3では1.5倍の強さを有していることになります…